212話 生きる(1) ページ9
白石「この流氷はアムール川こ水が河口で凍ったものなんだって・・・キロちゃんが教えてくれた」
「春が来たらそのまま故郷の水にとけて眠れる」
開いたままだったキロランケの瞼を白石が閉じた。
白石「真面目すぎる男だったんだよ。
キロちゃんはさ・・・!!」
アンケシさんとアシリパが唇を噛み締めた後、呟いた。
アンケシ「どうしてアチャたちは死ななければならなかったのか。本人から聞きたかった」
アシリパ「やっぱりアチャたちがアイヌを殺して金塊を奪ったから?」
杉元「アシリパさん。アンケシさん」
ふたりは杉元の顔を見つめる。
杉元「のっぺら坊は撃たれる直前に・・・」
「【アイヌを殺したのは自分でもイソンノアシでもない】と言ってたぜ」
アシリパとアンケシさんが嬉しそうに「本当か!?」と聞き返した。
・・・そういや俺、その話、聞くのの忘れてたな。
アシリパ「そうだソフィア・・・」
「彼女ならすべての真相がわかるかも・・・どこへ行った?近くにいるはずだ」
アシリパが辺りを見回し、アンケシさんが目を凝らす。
月島軍曹の限界が近そうだ。
アンケシ「ソフィアはキロランケニシパと監獄でたくさん文通していた。すべて知っているかもしれない」
A『まじかよ・・・ソフィアを探さなきゃな・・・って』
杉元の背中に百がいる。
A『・・・・・・・・・おい』
百の顔を覗き込み、俺は息を呑んだ。
百の右目は出血をしているのか、巻かれた包帯が赤く滲んでいる。
杉元「A。事情は追々はなすよ」
アシリパ「・・・・・」
まあ、明らかにここが関係してるんだろうけど。
杉元「あれ?あれって燈台の娘じゃねぇの?」
アシリパ「あ!!向こうに人影がある!!」
アシリパがそういって指を指した。
アンケシ「様子を見にいかないか?」
A『そうだね―』
鯉登「アシリパとアンケシとやらッ」
「お前たちを確保するために我々は来た。
杉元と松崎も我々に協力する取引をしている」
「私の許可なしに離れるな」
アシリパとアンケシさんが鯉登少尉をジッと見つめた後、
アシリパ「ちょっと見てくる」
アンケシ「では行ってきます」
杉元「俺も行く」
見事にかわされてしまった。
流石、アシリパとアンケシさん。
杉元は百を落としていってるし・・・。
A『ここは任せ
鯉登少尉殿』
俺は三人の後についていった。
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白文鳥 - ととさん» 嬉しいお言葉を有難うございます!訳あってこの作品はpixivにお引っ越ししました。励みを有難う御座います!そちらの方で頑張ります! (2022年1月8日 19時) (レス) id: 50fca864bb (このIDを非表示/違反報告)
とと - ここまで一気に読み進めてしまいました。続きが読みたくて、急いで単行本を読みました笑 主人公と周りとの距離感がたまらなく好きです。 (2021年6月24日 22時) (レス) id: 2c3ad1893b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白文鳥 | 作成日時:2021年1月18日 21時