141話 写真館(2) ページ8
田本「うん。いいですね。画になるふたりだ」
田本さんはそういって微笑んだ。
他にもアシリパやアンケシさんがひとりで写っている写真。
俺と杉元が並んでいる写真。
アシリパと撮った写真。
四人で撮っている写真。
無理矢理アンケシさんに引っ張られて撮る羽目にった百とアンケシさんで写っている写真。
俺も入れた写真。
シロも一緒に写っているもの等、沢山撮影してもらった。
緊張がとけたのかアンケシさんはすっかり笑顔になっている。
アシリパが杉元と俺の服の袖をつまみながら呟いた。
アシリパ「今度は・・・5人で写ろうな」
杉元「白石のやつ遊郭に行きやがったからな」
写真には興味がないと白石は俺たちと来なかった。
アンケシ「・・・白石がいたらもっと楽しかったんだろうに」
俺と杉元は顔を見合わせ、微笑んだ。
A『すべて片付いたらもう一度ここに寄るか』
杉元「今度は白石も一緒にな」
アシリパとアンケシさんが嬉しそうに俺達の顔を見つめる。
アシリパ「絶対だぞ!」
杉元「うん」
アンケシ「忘れるなよ?」
A『はいはい』
ふたりの少女は「よしッ」と嬉しそうに笑った。
帰り際、田本さんが俺を呼び止めた。
田本「松崎さんは
法華津とは母さんの旧姓である。
俺の祖父の名前が【幸甚】だ。
A『そうだと思います』
一度も会ったことは無いし生きているのかも分からない。
結構有名だったとこの武将で一族のはぐれ者が俺の祖父達だ。
祖父は大分で生まれ、北海道にたった一人で渡った。
新撰組と交流があったらしく、馬の世話をするのが得意で刀を振るのも上手かったという。
ただ、母さんに刀の振り方は教えてくれなかったそうだ。
幸甚は、母さんが力を付け人を殺めてしまうことを恐れた。
土方「腕っぷしは良いのに慈悲深く人を殺めることに人一倍罪の意識を抱いていた」
「とにかく優しいやつでよく笑いよく人の手助けをしていた」
俺とは正反対だ。
母さんは祖父と喧嘩して家を飛び出たもんだから一切連絡をとっていなかったらしい。
土方「・・・変わった奴だった。お前の瞳の色は幸甚と良く似ているよ」
「【お祖父様に会ったらすぐに分かるだろう。
お前はお祖父様とよく似てる】」
田本さんが写真を手渡してきた。
そこには、目元が母さんと似ている男の姿があった。
何処か懐かしみのある風貌に思わず笑みが溢れた。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時