141話 写真館(1) ページ7
俺達は旅館を出発すると昼頃には北見に着いた。
杉元と俺は気乗りしなかったが一応ここまで旅した中で何があったのかを土方にも伝えた。
勿論、アンケシさんの父親が金塊の事件と深く関わっていること、網走監獄で生きているかもしれないということも。
土方は嘘か真かイソンノアシの存在を知らなかった。
アンケシさんは父の姿を聞くことができずガッカリしていた。
永倉「インカラマッとキロランケか」
杉元「すべて鶴見中尉の仕組んだことで片付けばいいんだけどな」
杉元がそういって俯いた。
土方「私も思う所があって・・・実は古い知り合いをこの町に呼んでいる」
「あのふたりの写真を撮って誰かに調べさせよう。正体を知ってる者がどこかにいるかもしれない」
土方はインカラマッとキロランケの写真を撮り、
裏が無いのかを調べようと提案した。
俺と杉元はそれに賛成した。
ーー
写真館に入るとキロランケが呟いた。
キロランケ「なんだって急に写真なんか・・・」
本当の目的は俺と杉元と土方と永倉しか知らない。
アシリパとアンケシさんは興味津々だった。
杉元「アシリパさんとアンケシさんの写真をフチに送ってあげようと思ってね」
協力してくれるのは【田本研造】という方だ。
A『写真師の田本さんはヒジカタの古い知り合いだから安心しろ』
『せっかくだから思い出にみんなで撮影会しようぜ』
まずはインカラマッからだ。
田本「はい撮りますよ。私がフタを外したら6秒間動かないで」
「はい結構です。次の方・・・」
インカラマッの次にキロランケ。
そして家永と牛山が二人で。
さらにチカパシ。
田本「うん。良いですね。いい感じのお二人です」
杉元とアシリパが写真を撮ってもらい俺とアンケシさんの番が来た。
アンケシ「ど、どうすればいい!?笑うのか?
アシリパ!!ちょっと・・・」
アシリパ「自然に振る舞えばいいんだアンケシ」
アンケシさんは写真を撮られるのが初めてらしく物凄く焦っている。
尾形「ははッ うるさい奴め」
俺は赫映の父さんが写真家だったこともあり撮られるのには慣れている。
よくいろんな写真を撮ってもらった。
A『アンケシさん。俺がいるから緊張しなくて良いってば』
アンケシ「緊張してないッ」
アンケシさんがカクカク足でカメラの前に立つ。
俺とアンケシさんは杉元とアシリパと同じような構図で並んだ。
田本「ではいきますよ」
6秒後、カシャッ と音が鳴った。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時