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140話 形成逆転(3) ページ6

アシリパ「こんな暗いところで隠れて暮らして悪さをするため外に出るのは夜になってから・・・」

アンケシ「これではいつまでたっても貴方の人生は闇から抜け出せない」

都丹が弱々しく呟いた。

都丹「・・・・・・参ったなこりゃ・・・」


アンケシさんとアシリパの表情は都丹を憐れんでいるモノに近い何かだった。


ーー
一度旅館に戻るとアンケシさんが俺の手当てをしてくれた。

アンケシ「これまた大きな傷を作ったな」

A『痛たた・・・ははッ まだ生きてるよ。俺』

アンケシ「笑えないからな」

アンケシさんが俺を睨みつける。


俺はアンケシさんに問いかけた。

A『どうして都丹を生かすことに賛成した?殺せば今後の心配なんぞ無かったのに』

アンケシさんは俺を見つめ、小さな笑みを浮かべた。

アンケシ「あの人は根っからの悪人じゃない。
だから殺す必要は無い」

A『そんなの分からない。あとになって後悔しても知らないぞ』

アンケシ「悪人だったら助けちゃ駄目なのか?」

A『・・・あぁ』

アンケシさんが「それはおかしい」と呟いた。

アンケシ「Aは自分のこと悪人だと思っているのに私に命を助けられてる」

・・・・あ?

アンケシ「自分だけ特別扱いか?」

A『・・・・それは』

アンケシ「・・・ふふっ。そんな顔するな。
私は貴方のこと悪人だと思ってない」

  「それにな。私は自分が今まで助けた人の中で助けなきゃ良かったと後悔したことは無いんだ」

  「だからきっと今回も大丈夫」


なんとまぁ楽観的なことでしょう。

俺は無邪気に笑う彼女に言葉を失った。

・・・まぁ、この明るさに救われることも多いんだけど。


A『俺は不安だよアンケシさん』

アンケシ「うん?」

A『アンケシさんのその素直さが何か――大切なモノを見失った時に一気に壊れてしまいそうで・・・』

アンケシさんが困ったように俺を見つめる。

A『決して曲げてはいけない何かを・・・ちょっとした出来事で諦めてしまいそうだ』


アンケシさんみたいに他者を異常に信じ込む人や支えようと愛想を振りまく者はその点ひとの裏切りや非情さに弱い。

【なぜ?】【どうして?】といった疑問からあっという間に憎悪に変わり、ボロボロになって自分が何者なのかわからなくなってしまう。

・・・天邪鬼になってしまいそうで。




俺は強くあろうとする君の優しさが少しだけ・・・怖いよ。

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時

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