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156話 引き裂かれるもの(1) ページ44

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Aが寿三と対面する数分前。

アシリパとアンケシが双眼鏡から目を離した。

キロランケ「どうだアシリパ。お前の父親か?」

  「見覚えあるか?アンケシ」

アンケシ「・・・ウイルクニシパ」

アシリパ「アチャだ」

アシリパとアンケシが頷いた。

キロランケ「間違いなくウイルクなのか?」

アシリパ「(アチャ・・・どうして・・・?)」

アシリパの両目から涙が溢れる。

アンケシは呆然と立ち尽くしていた。


インカラマッにアシリパが双眼鏡を手渡す。

アンケシ「アシリパ・・・(のっぺら坊がウイルクニシパだった。じゃあ、ロシア人は・・・)」

  「アチャなの・・・・?」


その時だった。

インカラマッが「あ・・・!!」と声を上げると、叫んだ。

インカラマッ「ウイルクが撃たれたッッ」

アシリパ「え!?」

アンケシ「・・・・!!」

少女ふたりの目に、続いて杉元がバタリと倒れ込む姿が映り込んだ。

アシリパ「杉元ォ!!」

アンケシ「佐一ッ!!」

インカラマッが涙を流しながら呟く。

インカラマッ「アシリパちゃんアンケシちゃん。
いますぐ逃げなさい」

  「これで金塊の謎を解く鍵は・・・あなた達の中だけに存在する・・・!!」

  「みんながあなた達を巡って殺し合いになる!!」


杉元とウイルクの倒れ込む姿を見て、アシリパは泣き叫んだ。

アシリパ「アチャ!! 杉元ッ!!」

アンケシは、震える声で叫んだ。

アンケシ「ウイルクニシパ!! 佐一!!」

キロランケが二人を抱き抱える。

キロランケ「助からんッ 諦めろッ 逃げるぞ
アシリパ。アンケシ」

アシリパ「死んでないッ 置いていけないッ」

アンケシ「そうだ・・・・Aッ・・・」

そんな二人を見て、白石が呟いた。

白石「杉元が?マジかよ・・・!!
どうする?松崎も戻ってないのに・・・」

谷垣「俺が行ってくる」

  「白石はアシリパとアンケシから離れずに予備の舟で待ってろ」

  「松崎もついでに連れ戻してくる!!」

アンケシは走りさろうとする谷垣を見つめた。

インカラマッ「谷垣ニシパ!!行っちゃだめです。あなたも撃たれます」

谷垣「杉元と松崎には釧路で借りがある」

谷垣はそういうと走り去っていった。

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時

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