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155話 戦士(2) ページ43

イソンノアシ「・・・未来を託すため」

未来?

イソンノアシ「アンケシは山で潜伏し戦えるよう・・・・・・・・・・・・育てた」

  「私の娘は・・・・・【アシリパ】とアイヌを導く存在・・・・・」

A『アイヌを・・・導くだって?』

俺はイソンノアシを睨みつけた。

A『土方歳三という男が新聞記者にアシリパのことを書かせるつもりだ』

  『アシリパと同じく金塊を託された存在であるアンケシさんのことだってそのうち知れ渡る』

  『新聞を使って世論を煽動しアイヌの独立運動にあの子たちが利用されるんだぞ!』

  『アンケシさんは一度故郷を失っている。その悲しみを知っているし、今も忘れることができずに苦しんでいる』

  『なのにアンタはまた、その戦場に引き戻そうとしてんだぞッッ!!』

俺はイソンノアシを思い切り自分のほうに引き寄せた。

A『あの子を俺たちみたいな人殺しにしようってのか!!』

イソンノアシは黙ったまま俺を見つめていた。

A『テメエらの大義はご立派だよ。
誰かが戦わなきゃならないかもしれん』

  『でもそれは・・・あの子じゃなくたっていいだろう?』

  『アンケシさんには・・・山で狩りをして罠仕掛けるの失敗して』

  『アシリパとオソマ弄ってしったかして、
エウコハウプンパ(大声で笑う)していて欲しいんだよ 俺はッ!!』

イソンノアシは俺をまじまじと見つめると、ニヤッと笑った。

イソンノアシ「シサムよ・・・あの子に随分と気に入られたようだな・・・」


・・・言いたいことはまだまだある。

でも、今はこんなところで揉めている場合じゃない。

A『行くぞ。イソンノアシ』

イソンノアシの腕を引いて歩く。

俺とイソンノアシは正門の近くまでやって来た。


A『はぁ・・・ここに・・・アンケシさん達が――・・・』

キロランケ「松崎!!」

キロランケが真っ直ぐこちらにへと走ってきた。

キロランケ「隣にいるのは・・・まさか!」

A『あぁ。アンケシさんはいるか?
・・・てか、杉元たちは何処だ?』

イソンノアシの身体が止まった。

心無しか、こいつの目は怒りを帯びていた。

イソンノアシ「ユル――・・・」

キロランケ「ッ・・・・・!!」

キロランケがイソンノアシに向かって突進した。


A『・・・・!』

イソンノアシの頭を、キロランケのタシロ(山刀)が貫いた。

156話 引き裂かれるもの(1)→←155話 戦士(1)



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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時

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