不屈の羽【ゴールデンカムイ】玖 (ページ36)

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152話　救世主（4）ページ36

ASide

A『チッ・・・全然ビクともしねぇ！！』

こんなに扉って開かないことある！？

才能ある囚人が独居房つくったって言ってたけどさ！！

無駄な才能、開花させないでほしいわぁ〜！！

開かねぇし・・・そもそも俺囚人じゃないんだけど。

全部終わったら取り敢えず門倉をここにぶち込んでやるッ！！

キロランケ「松崎！！」

A『キロランケ！？』

白石から俺の居場所を聞いたらしいキロランケがやって来たようだ。

キロランケ「出られなくなったんだってな」

A『あぁ。鍵も無ぇし白石がやっても駄目だった』

キロランケ「安心しろ。すぐに出してやっから」

A『・・・・嫌な予感するんだけど』

キロランケ「扉のそばから離れとけ！！
巻き込まれるぞ」

A『やっぱりそれ(爆弾)か！！』

急いで後ろに下がった瞬間に爆音が響いた。

A『ゲホッ・・・ゲホッ・・・』

黒煙が上がった先にキロランケが微笑み、立っていた。

キロランケ「アシﾘパとアンケシから伝言だ」

A『・・・・伝言？』

ーー
アシﾘパとアンケシさんは土方から何とか逃げ出してきたらしい。

ついでに本物の居場所も突き止めてくれたそうだ。

A『教誨堂？』

キロランケ「ああ。杉元は先に向かってる」

A『良かった・・・・杉元は無事か』

キロランケ「アシﾘパとアンケシは先に正門に向かわせた」

キロランケが懐を探り始めた。

キロランケ「アンケシがこれをロシア人に見せろって」

A『！？』

キロランケがそう言って差し出してきたのは、
網走監獄潜入前に見せてくれた・・・。

いつも頭に巻いている鉢巻だった。

A『これはアンケシさんのマタンプｼ・・・母親が作ったマタンプｼか・・・』

「【ハポ独自の刺繍を施していてな。この世でたった一つ。唯一無二のものなんだ】」

なるほど。

これをロシア人に見せれば・・・・。

俺はマタンプｼを外套のポケットに丁寧に畳んで仕舞った。

A『キロランケも正門で待っててくれ。
白石だけじゃ心配だ』

　『のっぺら坊は杉元が連れてきてくれるだろうから・・・』

俺はキロランケを見つめた。

A『俺がロシア人を連れて来る。
必ず会わせるとアンケシさんに伝えてくれ』

キロランケ「・・・わかった」

銃の位置を下げ直して俺はキロランケから背を向けた。

早く真実を確かめるんだ。

何もかも手遅れになる前に・・・・。