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151話 本物(1) ページ30

アンケシSide

アンケシ「離してください!!」

土方ニシパは腕の中で暴れる私をしっかりと押さえつけ、煉瓦造り独居房に目をやると鍵を掛けた。

アンケシ「ッ!!何してるんだ!!」

どうして片腕の囚人を殺した??

どうしてAを独居房に残した??

どうして、閉じ込めようとしている!?

アンケシ「鍵を今すぐ開けてください!!
Aが出られなくなってしまう!!」

土方「出す必要は無い」

土方ニシパの言葉に耳を疑った。

出す必要は無い???

アンケシ「なに・・・・言って――」

土方ニシパが独居房の鍵を地面に落とすと思い切り踏みつけた。

ベキンッと鍵は真っ二つに折れ情けない形に曲がった。

アンケシ「ッな!!??」

土方「行くぞ。アンケシ」

土方ニシパは私を地面に下ろすも力強く腕を掴んだ。

半ば引きずられる様な形で独居房からどんどん遠ざかっていく。

駄目だ・・・置いていったら。


「【お前たちだけ逃げるのか!!】」

「【裏切り者!!!】」

違う・・・私は裏切りたかった訳じゃない。


本当なら、アチャの手を振り払ってでも――ハポ達を助けたかった。

でも、出来なかった。

アチャに生きてアイヌの為に、樺太に戻れる様にと・・・。


『【ははッ・・・頼むよアンケシさん】』


・・・・駄目だ。


「【信じろA。何があろうと私は・・・】」


もう、逃げちゃ駄目だッ。


無言のまま私の手を引く土方ニシパを見つめる。

このシサムの言いなりになるな。

今度は、私が、助けるんだ。

アンケシ「ッ!!」

土方ニシパの腕に思い切り噛み付いた。

土方「!?」

土方ニシパの手が緩んだ隙に手を思い切り上下に振った。

戻るなら、今しかない!

私は一生懸命独居房に向かって走った。

土方「アンケシ!」

アンケシ「Aッ!!Aッ!!」


独居房の壁を何度も叩き話しかけるも応答が無い。

背後には土方ニシパが迫っている。

土方「脳震盪でも起こして気絶しているだろう。話しかけても無駄だ」

アンケシ「っ」

土方ニシパが私に手を伸ばす。

土方「来いアンケシ」

  「邪魔者がやってくる前に向かわなければならない場所がある」

・・・・土方ニシパのしたいことが分からない。

アンケシ「行かない。Aをここから出すことが出来るまで私は行かない」

土方「本物に会わせてやる」


本・・・物・・・??

151話 本物(2)→←150話 煉瓦造り独居房(2)



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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時

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