150話 煉瓦造り独居房(1) ページ28
五翼放射状平屋舎房に潜入する話をしているときから【無理だ】とか【出来ねえ】とか言う門倉に俺と杉元は我慢の限界だった。
A『さっきから黙っていればゴダゴダと・・・・』
杉元「【出来ねえ】じゃねえよ。やるんだよ」
門倉「ああ?」
土方が俺たちを宥めた。
土方「門倉には今後もここに残って情報を流してもらいたい。内通者であるのがバレる方法は避けよう」
白石「五翼放射状平屋舎房に潜入する方法は俺の頭の中にある・・・でもそっち二人の方はなぁ」
白石が頭をかいた。
アンケシ「その五翼放射状平屋舎房のほうは?
どんな考えなんだ?」
白石がアンケシさんにそう聞かれると得意気に答えた。
白石「俺はよ・・・監獄に入れられると【どうやって脱獄できるか】考える癖があるんだ」
「どこに弱いところがあるのか建物を観察する」
白石はそこから網走監獄は天窓から入る事ができると言った。
門倉「煉瓦造り独居房にはねぇぞ」
門倉が反論する。
アンケシ「・・・・・打つ手なし、か」
そんな訳あるか――!!
A『・・・・・オイ門倉ぁ。本当になにひとつとして策がないのかよ』
肩に下げている銃の紐を掴みながら門倉を睨むと門倉は慌てた様子でわざとらしく声を上げた。
門倉「あ、待てよ!!思い出した」
「独居房の前には絶対に番人が立たされるんだ。ソイツに俺が鍵を持つように言っておく」
「適当なこと言ってそう命令しておくからあとはお前たちが盗むなり何なりしろ!」
「・・・俺にはこれくらいしか出来ねぇよ」
なんだ。手っ取り早い方法があるんじゃねぇか。
と突っ込みたい気持ちを抑え、俺とアンケシさんは頷きあった。
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シロとアンケシさんの案内で小さな建物が連なっている場所に辿り着いた。
アンケシ「・・・あッ!あそこの前に誰かいるぞ」
アンケシさんが指をさした。
銃を使って殺りたいところだが、巡回している奴等に遭遇すると面倒だ。
A『アンケシさんはここで待ってろ』
アンケシさんが小さく頷いた。
看守の背後に静かに回りこみ銃剣を取り出した。
看守の口を抑え、その喉を銃剣で貫いた。
看守の喉から行き場をなくした空気が排出される音が静かにゴポポと音を立てた。
A『・・・あった』
看守のポケットを探ると鍵が出てきた。
俺はシロとアンケシさんに声をかける。
アンケシさんとシロが静かにこちらにやって来た。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時