149話 新月の夜に(1) ページ26
月の光のない漆黒の夜。
杉元「インカラマッとチカパシ。永倉と家永はコタンで待機。尾形は山に隠れて何かあれば狙撃で援護」
「谷垣と夏太郎は川岸に用意した丸木舟で待機。キロランケと牛山と土方は宿舎で待機」
「アシリパさんと白石と俺が囚人たちのいる舎房へ侵入する」
A『俺とアンケシさんは舎房から離れたとこにある建物へ行きロシア人に会いに行く・・・』
どちらかと言えば杉元たちの行くほうが危険が多いし、大人数で彷徨くわけにはいかない。
二手をとって同時に脱出・・・といった作戦をとるほうが良いだろうという話になった。
のっぺら坊と俺が対面する必要はアシリパがいるので無し・・・という方向性に決まった。
まぁ、その代わり俺を鍵にした理由を杉元たちが聞いてくれるらしい。
アンケシ「本当に直接聞かなくて良いのか?」
作戦を決定したときからアンケシさんは俺にそう問いかけてきた。
俺がなんの為にここまで旅をしてきたのかを知っているから気遣ってくれているんだ。
A『うん。俺まで入ったらのっぺら坊との話し合いがややこしくなるだろうし・・・それよりもロシア人のことのほうが気になる』
杉元「まぁ、俺達に任せてくれよ。
ちゃんと文句のひとつやふたつ言っとくからさ」
杉元がそういって微笑んだ。
A『敷地内はどこも消灯されすでにお互いが見えないほど真っ暗闇だ。暗闇を突っ切って舎房へ近づく』
『先導するのは都丹庵士』
都丹「風の音が強いが周囲の建物の位置関係などは把握できる。遠くへ伝わる舌の音もかき消してくれるだろう」
「んで・・・・お前たちはどうするんだ?」
そう、問題は俺とアンケシさんだ。
途中からコイツラと行く場所が違うから、真っ暗闇を歩き回る羽目になる・・・けど。
シロが俺の肩に飛び乗った。
A『シロの案内で進んでいく。アンケシさんがシロの声を聴きながら歩いてくれる』
アンケシ「シロはカムイの中でもお喋りだ。
私が話し掛けたら絶対に答えてくれる。な?
シロ」
シロが元気よく返事をした。
俺達は高いの顔を見て頷きあった。
杉元「よし・・・行こう!!」
戸を開けて都丹を先頭に外に出た。
都丹、白石、杉元、アシリパ、アンケシさん、俺(シロ)の順で歩き出した。
看守「何だお前ら」
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時