145話 本当のチタタプ(1) ページ18
網走近郊のコタン。
フチの妹(13)のチセで夕食を摂ることになった。
アシリパ「アイヌにとって主食だった鮭はシペ
【本当の食べ物】と呼ばれ川に鮭が極端に少ない年は餓死するものが出たほど重要なものだった」
「だから私達は鮭一匹余すこと無く利用する」
アンケシ「鮭の皮はチュプケレという冬靴の材料にも利用した。大人の靴一足作るのに鮭4匹は必要だ」
「秋に作って大切に履いてもひと冬しかもたないし油断すると犬が食べてしまうけど」
チセにあがらせてもらっているシロが早速靴をガジガジと囓っている。
アンケシさんがシロを靴から引き剥がした。
アシリパ「さて鮭を食べる準備だ」
「頭を切り落として上顎の真ん中の氷頭という軟骨のある部分を切り取る」
「この部分を主に使う珍味な料理があるけど杉元か松崎!何か分かるか?」
A『杉元!答えろ』
杉元「えええ〜?まさか・・・」
アシリパ「チタタプだ」
杉元「ハイ出ましたチタタプ!!」
食い気味にアシリパの声にかぶせ杉元がそういった。
アンケシ「チタタプとは本来鮭のチタタプのことを指すんだ」
杉元「チタタプの中のチタタプ!!」
杉元がキロランケの二の腕をつねる。
キロランケ「痛ててッ つねった!!」
ーー
アシリパとアンケシさんが恒例のチタタプ強制会を始めた。
アンケシ「エラを外してよく洗って血を抜く。
エラと氷頭をチタタプする。チタタプするほど美味しくなる」
杉元「チタタプ言えよ。夏太郎」
夏太郎「チタタプチタタプ」
夏太郎がチタタプとちゃんと言えるのか杉元が見張っている。
俺はどうにもナツタローと仲良くなれない。
ここ数日で会話をしたのは一回か二回程度だ。
それも事務的な・・・・。
チカパシ「これでチタタプしてもいい?」
チカパシが土方の刀を手にそう聞いた。
焦る永倉。
承諾する土方。
ホントにやっちゃうチカパシ。
案外、土方は子供が好きなのかもしれない。
アシリパやアンケシさんを抱っこしちゃうくらいだし。
アシリパ「尾形〜〜」
そして、お次は百。
アシリパ「みんなチタタプ言ってるぞ?
本当のチタタプでチタタプ言わないならいつ言うんだ?」
アンケシ「みんなと気持ちをひとつにしておこうと思ったんだが」
俺は百がチタタプと言うとは思えないけど・・・。
尾形「チタタプ」
・・・・・え?
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時