144話 門倉看守部長(1) ページ16
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ある日、俺は杉元たちと土を掘る手伝いをしていた。
谷垣が土を捨てにクチャから出ようとしたとき、網走監獄の看守たちに声をかけられているのが聞こえてきた。
俺と杉元はすぐに様子を見に向かった。
門倉「あんた達さ〜困るよ。こんなところに」
「こんなに色々立てちゃっても〜〜」
男がクチャの壁をパンッと叩いた。
門倉「すぐに片付けてくれよ。わざわざこんなところでやらなくたっていいだろ?」
谷垣が俺と杉元をチラリと見た。
杉元の手には桑、俺の手には銃がしっかりと握られてある。
谷垣「もっと鮭をよこせというのか?」
谷垣が突然そういった。
門倉「なんのことだ?」
谷垣「和人にはわからんだろうがアイヌの中でも縄張りが決まってて良い漁場にありつくのはむずかしい」
「すれに向こう岸に小屋を作るとキツネが食い荒らすんだ」
谷垣の顔は和人のなかでも濃いほうだからアイヌだといったも違和感はさほどない。
俺と昔からアイヌと深く関わってるやつは疑問を抱くがたかが看守に見分けはつかないだろう。
谷垣「でもここでの漁を許すかわりに毎日鮭を3匹渡す取引をしたはずだ」
「そっちの看守に聞いてみろ」
男が部下と思わしきものたちに賄賂をもらっていたのかと聞いた。
部下たちは分かりやすく口籠った。
杉元「・・・・・」
杉元の桑を下にさげる。
無駄な争いをしたくないという谷垣の優しさに免じて大人しくしよう。
門倉「5匹持ってこい」
「嫌なら強制的に撤去するぜ。
わかったな?」
男は俺達に新たな取引を持ち出した。
キロランケ「これじゃキツネに食われたほうがましだ!!」
男がニヤニヤと笑い、さり際にキロランケたちにこういった。
門倉「松崎Aという男を見てないかな?」
「青黒い瞳のイケメンくんらしいんだけどさぁ・・・」
「それかロシア人みたいな容姿にアイヌの格好をした女のコとか」
谷垣とキロランケが首を横に振った。
谷垣「みてない。俺達は最近ここに来たばかりだ」
キロランケ「そいつ等がどうかしたのか?」
門倉「・・・・いや。行くぞお前ら」
看守たちは男に続いて帰って行った。
杉元「やっぱりお前とアンケシさんは探されてるか・・・」
A『アシリパとアンケシさんがここに居なくて良かった』
親父を早く殺さなければ・・・。
・・・何を企んでいるか分からない。
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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時