検索窓
今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:12,748 hit

143話 歯車はずれる(3) ページ14

百が俺の心臓の真上に拳を当ててきた。

尾形「俺はガキを恋愛対象としてなんか見ねえよ。アンケシは女としての魅力は微塵もねぇし」

・・・う〜ん、うん。う、うん。

尾形「ただ・・・俺はお前と違って区別をつけるつもりは無い」

A『え?』

尾形「欲しいのはアンケシじゃないがアンケシのなかにあるものだ」

  「俺はそれを貰っていいのかと聞いたんだ」

まって、どういうこと?

全然、話の内容が見えてこないんだけど。

混乱する俺を可笑しそうに見据えながら百は続けた。

尾形「そして、その過程にある邪魔なものは取り除く」

A『・・・・・・・・』


取り敢えず、生半可な気持ちでは無いということと、決していやらしい目で見ているわけじゃないんだな。


A『そっか。なら、良いんだ』

  『疑って悪かったな・・・皆のとこに戻るぞ』

百に背中を向けると百は俺の腕を思い切り引いた。

よろけて百の胸に額をぶつけた。

A『ッ〜! ちょ!? ひゃ――』

尾形「お前は俺のモノだ。A」

A『・・・・!!?』

そういって百は今までには無いくらいに俺を強く抱きしめた。

百の指先に力が入っているのか掴まれた腕が痛みだした。

A『・・・百?どうした?』

尾形「杉元と出逢ってからお前はあまりにも変わりすぎた」

  「俺の弟だった尾形Aが、アイツ(杉元)と幼馴染の松崎Aに戻ろうとしている」

  「お前も俺を置いていくのか?」

・・・どうしたんだ?コイツ。

まるで幼子が母親にすがりつく様に俺から離れない。

今の百は・・・何処かおかしい。


爪をたてられているのかジワリと腕から血が滲み出てきた。

流石に、これは・・・。

A『っ離せ!!』

ヤバイと思ったときには百のことを突き飛ばしていた。

俺の行動に驚き呆然と立ち尽くす百に謝ろうと思っても簡単に言葉が浮かんでこない。

A『・・・・お前なんかおかしいよ。
どうした?』

謝るより先に他の言葉が口から飛び出てくる。


違う、違うけど・・・・言えない。


尾形「ははッ。疲れてんのかもな・・・」

百がポツリとそう呟いた。

A『あぁ。きっとそうだ。網走監獄にまで来ちゃったから精神的にも疲れが込み上げてきたんだろう』

  『俺もほんの少しだけ緊張してるし・・・だから、その』

尾形「先に帰っててくれ。後から行く」

百が目を細め、ポツリと呟いた。

尾形「お前と俺は、もう昔には戻れねえな」

143話 歯車はずれる(4)→←143話 歯車はずれる(2)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
13人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月22日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。