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122話 鶴の舞(2) ページ8

アンケシさんが「なぜ?」と聞き返してきた。

A『・・・あの外套は俺が出兵する前に大切な人がくれたモノなんだ』


「【北海道に行くんだよね・・・これ。
結構暖かいし・・・何時帰って来るか分からないから。早いプレゼントね】」

「【・・・・二十歳の誕生日は、一緒に祝おう?】」


A『だから、そのままの形を残しておきたいっていうか・・・』

アンケシ「手を加えたくないって?」

A『うん。それにボロいけど暖かいんだよ』

アンケシさんが「そっか」と微笑んだ。


ーー
百たちのもとに帰ってみると既に杉元たちが先に戻っていて食事の準備をしていた。

杉元「丹頂鶴が罠に掛かってたんだ!」

A『へ〜〜・・・でもサロルンカムイって美味くないんじゃなかった?』

アシリパとアンケシさんが頷いた。


実際、食べてみたけどやっぱり美味しくない。

アシリパ「泥臭いようなムッとする変な匂いだろ?」

白石「なんで丹頂鶴なんか獲ったんだ!」

アシリパが呟く。

アシリパ「普段は獲らないけど杉元が【北海道の珍味を食べ尽くしたいんだ】といつも言ってたから・・・」

杉元「言ってねぇだろ。俺はそんな目的で旅をしてるんじゃないんだよ!」

アシリパが杉元に聞いた。

アシリパ「・・・・・杉元は・・・どうして金塊が欲しいんだ?」

杉元「まだ言ってなかったっけ」

  「戦争で死んだ親友の嫁さんをアメリカに連れてって目の治療を受けさせてやりたいんだ」

・・・梅だったっけ。

当然のようにアンケシさんが聞いてきた。

アンケシ「Aは?貴方もやっぱり金塊が欲しいのか?」

俺は首を横に振ってから答えた。

A『金塊は欲しくない。俺は・・・他にやりたいことがあるんだ』


脳裏に赫映の姿が浮かび、消える。


百が頭を撫でながら呟いた。

尾形「【惚れた女のため】ってのはその未亡人のことか?杉元」

  「Aのやりたい事ってのは【想い人探し】だろ?」

白石「え?そうなの?」

俺と杉元は黙ったまま百を睨みつけた。


アシリパ「フン」

アンケシ「トリ」

アシリパ.アンケシ「「フンチカプ」」

突然、俺の隣に座っていたアンケシさんが立ち上がりアシリパと鶴の舞を踊り始めた。

A『アンケシさん??』

杉元「アシリパさんどうしたの?」

アシリパ「鶴の舞(サロルンリムセ)
釧路に伝わる踊り」

アンケシ「ハァホォォ ホーイ ホーイ」


いや、急だな・・・。驚いたわ。

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月13日 20時

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