136話 コタンコﾛカムイ（1） ページ44
チセに帰るなり俺たちは怒鳴られた。
フチの妹の息子「おいアシﾘパ アンケシ。
このカムイ目を撃たれてるじゃないかッ。
知らねえぞコレ」
アシﾘパ「あの男が撃っちゃった」
アシﾘパが杉元を指差す。
アンケシ「あと先程カララｸカムイを誤って撃ってしまったから送る儀式もやった」
フチの妹の息子「・・・・なにやってるんだ」
俺たちは杉元が仕留めたフクロウをチタタﾌﾟする。
谷垣がやっぱり杉元たちの餌食となった。
アシﾘパ「コタンコﾛカムイのチタタﾌﾟだ」
「クチ開けろ」
俺たちはおとなしく口を開ける。
谷垣「すっかり餌付けされてる」
アンケシさんがコタンコﾛカムイの説明をする。
アンケシ「東に住むアイヌにとってコタンコﾛカムイはヒグマよりも位の高いカムイだ」
「木のウロで捕まえた雛は村に持ち帰り子熊よりも大切に育てる。送る儀式は飼い熊送りよりも厳粛だ」
キロランケが呟いた。
キロランケ「シマフクロウは鮭を捕まえても皮が軟らかい。喉の肉だけ食べて残すから川漁が中心の地域に住むアイヌには大切にされたんだよ」
「コタンコﾛカムイは村を守護するカムイで闇の奥から忍び寄る魔物を大声で怒鳴りつける」
シロにチタタﾌﾟを分けてやる様子をオジサンが見つめてきた。
そして・・・。
フチの妹の息子「もうすぐ新月になる。前の新月のときは隣の村が襲われた」
俺たちはオジサンを見つめる。
フチの妹の息子「カムイは頼っていても村は守れない。新月の夜に盗賊がこの村を襲って来たら村の男達も命がけで戦う覚悟だ」
その直後・・・。
シロ「ガァ！！ガァ！！アア！！」
シロが大声で鳴き、外にいるコタンコﾛカムイが鳴き叫んだ。
杉元「！？」
アシﾘパ「コタンコﾛカムイが叫んでる」
アンケシさんが目を細める。
アンケシ「シロもなにか言ってるし・・・外に行こう」
俺たちは急いで外に飛び出していった。
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2020年12月13日 20時
