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125話 普通の人(2) ページ16

アンケシSide

アンケシ「悪い狐が悪知恵で人間と結婚しようとして正体がばれて殺される話もある」

  「カムイと人間が良くない方法でウコチャヌプコロしようとすると罰を受けるということだな」

Aが一瞬、何かを言おうとしてやめた気がした。

もう日が暮れてきたので私は横になり瞼を閉じた。

それでも、昼間のキラウシニシパとの会話を思い出してなかなか眠れない。


「【アンケシはカムイが地上に降ろしてくれた人型のカムイだ】」


誰が言ったのかもわからないこの一言で私は友人が一人も居なくなった。

昔の話だから・・・・悲しくはない。

アンケシ「私もカムイの声が聴こえるからと特別な扱いを受けていた時期がある」

  「そうだとしたら私の相手をどうするんだと揉め事にまで発展してな・・・おかしな話だ」

こんなことでスッキリするんだとかは思わないけど、Aにならと。

Aは独り言の様に、私に言った。

A『・・・カムイ相手でも人間相手でも望む方を選べば良いだけの話』

  『部外者がグダグダと御託を並べて。
面倒だ』


聞いてくれたのが嬉しくて私はつい続けてしまう。

こんなにも自分が面倒なヤツだったとは思わなかった。

アンケシ「・・・私は、カムイと同じ扱いを受けるのが嫌いだ」

  「なんだか利用できるから味方でいてくれる感じがして」

Aが寝転がった気配がした。

うっすらと瞼を開けてみるとAは私に背中を向けていた。


眠たいんだろうから、話しかけるのはやめよう。

そう思って私も眠ろうとしたとき、Aはポツリと呟いた。

A『アンケシさんはカムイじゃない。
樺太アイヌの父と北海道アイヌの母を持つたったひとりのアイヌの女の子だ』

  『アンタは・・・人間だよ』


程なくしてAが眠りについた。

アンケシ「・・・・・うん」

私も直ぐに眠りについた。


ーー
二日目。

雨が降ったせいでカムイの声も、人の声さえも聞き取れなかった。

A『・・・雨酷ぇな・・・シロ〜。
おいで』

Aの肩にシロがとまる。

こんななかシロを飛ばしても無意味だろう。

アンケシ「雨が止むのを待とう」


ーー
結局、雨が止んだのは日が暮れてからだ。

A『今日も見つからなかったな』

アンケシ「なかなか難しいものだ・・・・」


今日眠れば明日で最後だ。

A『明日の夕暮れまでに決着をつけるぞ』

私は小さく頷くことしか出来なかった。

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作者名:白文鳥 | 作成日時:2020年12月13日 20時

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