125話 普通の人（1） ページ15
俺たちは
アンケシ「私とAとアシﾘパと佐一が三日以内に姉畑支遁を連れて戻れなかったときは・・・」
「百が谷垣ニｼパを守ってくれ」
百が俺を一度見てから呟いた。
尾形「あの子熊ちゃんを助けて俺に何の特がある？奴は鶴見中尉の命令で俺たちを追ってきた可能性は高い」
「鶴見中尉を信奉し造反した戦友三人を山で殺す男だ」
A『谷垣と行動していた三人のことか？』
百が俺をジロリと見る。
杉元が続けた。
杉元「あいつらを殺したのはヒグマだ。
俺がその場にいたんだから間違いない」
尾形「ヒグマ？」
A『あぁ。俺も遠くから見てた』
アシﾘパが口を開いた。
アシﾘパ「谷垣はマタギに戻りたがっていた。
足が治ったあとも軍に戻らずフチの家にいたと聞いた。谷垣に何かあればフチが悲しむ」
アンケシ「あぁ・・・。お願いします。百」
アンケシさんが百に頭を下げた。
杉元「アシﾘパさんの頼みを聞かねえと・・・嫌われて獲物の脳みそ貰えなくなるぜ」
A『【チタタﾌﾟ】っていうまでアンケシさんに追い回されるかもな』
アシﾘパとアンケシさんが百を見つめる。
尾形「言っとくが・・・俺の助ける方法は選択肢が少ないぞ」
アイヌたちが俺たちの様子を伺っている。
最悪・・・脅しの一貫としてひとり、殺るしか無いな・・・・・。
アンケシ「Aその顔をやめないか。
あと銃の紐を握るな」
ーー
俺たちと杉元たちとで二手に別れ、行動を開始した。
この日は何一つとして手掛かりを得られなかった。
その夜、アンケシさんとこんな話をした。
アンケシ「カムイと人間が結婚する
「狼や熊と結婚した男の話やカッコウと結婚した男の話はカムイと子供まで作っている」
A『和人の昔話にも【鶴女房】って話があるな』
アンケシさんが聞き返してきたのでザッと説明をする。
A『女に変身して人間に恩返しをするんだけど鶴の姿を見られたとたんに逃げていくんだ』
アンケシ「どの話も動物と結婚するときは必ず人間に変身した姿で結婚する」
「やっぱり動物と結婚するのはいけないことだとみんなわかってるからだ」
「カムイはカムイと。人間は人間と
ウコチャヌﾌﾟコﾛしなきゃいけないんだ」
ウコチャヌﾌﾟコﾛ・・・・。
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作者名：白文鳥 | 作成日時：2020年12月13日 20時
