Prologue ページ1
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「オーライ!!」
「いくよ!!」
2002年1月5日。冬休みも終盤の頃、小学二年生の畠外Aとその親友であり幼馴染みの田中龍之介はバレーボールで遊んでいた。
バレーボールはAが田中に提案したもので、冬の厳しい寒さの中でも身体を動かせばあたたかくなった。
二人はクラブに入ることを検討したり将来はバレー選手になると宣言したほど、バレーにハマった。
「あっ、りゅう!! ごめんボールとばしちゃった!」
「オッケー! とってくる!!」
二人がバレーをしてるのは近所の公園で、Aが飛ばしたボールはその公園から出て車道にまで飛んでいった。
それを夢中で追いかける田中。そしてそこにスピードの乗った車が……_____。
「ッりゅう! あぶないっっ!!!」
「えっ」
ドンッ!!!!
大きな衝撃音とともに、身体の小さな田中の身体が空中に舞う。
その時、Aはその目にはねられた田中の姿を映しながら、頭に前世の記憶が蘇った。
バレーボール、田中龍之介、宮城県。
この世界は“ハイキュー!!”で、メインキャラクターの田中龍之介。
「り、りゅう!!!!!」
情報の海に溺れかける頭、目の前に広がる凄惨な光景、呼吸もままならず苦しくなる胸。
Aが田中のもとに駆けつけたときにはすでにもう、田中龍之介の目に光はなかった。
…………………………
俺は親友であり幼馴染みの、そしてハイキューのメインキャラクターである田中龍之介を死なせてしまった。殺したとも言える。
警察も龍の家族も、学校の先生ももうひとりの幼馴染みの天内叶歌も、俺の家族でさえも、俺のせいではないと言う。
もし俺が転生者でなければ、俺すらもそう思うだろう。
しかし俺は転生者で、龍が最低でも20年くらいは生きることを知っている。
俺という存在がなければ、俺が生きることを望まなければ、龍が死ぬことはなかった。
冴子さんは言った。Aを憎んでなんかいないし、龍も絶対憎んでなんかない。だから、Aは自分を許せ。と。
俺以外は俺を許している。だったら、俺の罪を知っている俺だけは俺を許してはならない。
田中龍之介のいない世界で、俺は、本来の未来を守ることで罪を償わなければならない。
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こあ - 面白いです。まず、ムードメーカーの田中さんがいないって考え付かないのでこれからの話に期待です。更新待ってます! (3月23日 14時) (レス) @page20 id: 8b738f139e (このIDを非表示/違反報告)
ゴデバ(プロフ) - 氷咲@氷珀さん» おわわわわわ大作家先生からコメントを頂けるだなんて!?!!?ありがとうございますありがとうございます!!!クソデカ感情自己叱責タイプww見事に言い表していますね。更新遅めですが頂いたお言葉を励みに頑張ります!! (3月8日 11時) (レス) id: dcf08a96a2 (このIDを非表示/違反報告)
氷咲@氷珀(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。タイトルに惹かれてやってきましたが、まさかHQで男主を、しかも成り代わりに近い形の(?)クソデカ感情自己叱責タイプの作品に出会えてとても興味深く読ませていただきました。天才すぎる…この後の展開も楽しみにお待ちしています! (3月8日 1時) (レス) @page20 id: b0b4af51b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴデバ(プロフ) - じゃがりこって美味しいですよねさん» 返信遅れてすみません🙇コメントありがとうございます!自分曇らせとかシリアスとか好きなんですけど占ツクには少ないので自給自足した感じですね。自分と同じように楽しんでくださる方がいてよかったです!!ちなみにじゃがりこはウマいですね。わかります。 (3月3日 21時) (レス) id: dcf08a96a2 (このIDを非表示/違反報告)
じゃがりこって美味しいですよね - こう言う系の夢小説ってハイキューでは中々ないから物凄い嬉しいです…!!!そんで一気読みしてしまいました…笑続き楽しみです。応援してます〜!! (3月2日 20時) (レス) @page15 id: f91a4d9a84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゴデバ | 作成日時:2024年2月16日 22時