天邪鬼 壱 ページ26
学校からの帰り道、人が落ちていた。正確には人でなく「人のかたちをした妖」だが。
『……生きてる』
身体じゅう傷だらけで今にも息絶えてしまいそうな程にボロボロだが、まだ微かに息がある。しかし今日はしんぺい神を含めた人ならざる者たちは留守番中のため今すぐ治療をすることはできない。
オスマンが居着いてからは「全員が着いてくると騒がしいから」という理由で学校へは一人で行くようにしたのだが、今後はしんぺい神さまだけでも着いてきてもらった方がいいのかな。でもそうするとゾムもオスマンも拗ねるからなぁ……。
そんなことを考えつつも、見捨てるという選択肢が無いAはよいしょと妖を担ぎ上げる。身長差とA自身の非力さのせいで半ば引きずるような状態になってしまっているが、そこは仕方がないと気にしないことにした。
『死んじゃだめだよ』
血が乾き切っていたのが幸いだ。がんばれ、がんばれ、と時折妖を励ましながらAは歩を進め始めた。
・
「はい終わり。暫く安静にしておけばそのうち目を覚ますと思うよ」
『よかった……しんぺい神さま、ありがとうございます』
帰ってくるなりわちゃわちゃと纏わりついてきた弟妹たちをどうにか躱し、しんぺい神へと預けた妖は無事一命を取り留めたようだった。すやすやと聞こえる寝息は随分と安定しており、Aはホッと安心したように胸を撫で下ろす。
「にしても何の妖やろなこいつ」
『んー…鬼じゃないかな。たぶん』
「鬼ぃ？こんなひょろっちい奴が？」
『鬼にも色々いるんだよ』
そう言いながら、つんつんと仮にも病人を指でつついているゾムをやんわりと制す。
確かに鬼といえば筋骨隆々な大男といったイメージを浮かべやすいが、大柄で乱暴な恐ろしい鬼もいれば、小さくてイタズラ好きな可愛らしい鬼もいる。人間と同じように、妖にも個体差はあるのだ。
人間のかたちをしているということは、この鬼もゾムやオスマンと同じ上級の妖なのだろう。勝手に助けておいて何だが、もし施設の人たちに危害を加えるような真似をすれば退治せざるを得ない。どうか良い妖であってくれと、Aが内心で祈ったその時だった。
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重(プロフ) - たむさん» たむ様、コメントありがとうございます。ご心配をおかけして申し訳ございません。私生活の方が忙しくなり、本当に長い間お待たせしてしまいました…。今年になってようやっと落ち着いてきましたので、ぼちぼち更新を再開していきたいと思っております！頑張ります！ (1月30日 0時) (
レス) @page50 id: 8427fb6990 (このIDを非表示/違反報告)
たむ(プロフ) - とても好きです。終わってしまったのがとても悲しいですが更新がされることを待とうと思います。お体に何事もなければ良いのですが、体調が優れないことがないようお祈りしております。 (1月2日 16時) (レス) @page45 id: eba900a9f0 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 缶コーヒーさん» 缶コーヒー様、コメントありがとうございます。滅茶苦茶面白いとのお言葉、本当に嬉しい限りです…！今後とも楽しんで頂けるよう精進していきますので、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年12月15日 17時) (レス) id: ddd711f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
缶コーヒー - 初めまして、缶コーヒーと申します。滅茶苦茶面白いです！まだ否ログイン者なのですが、更新されたらまた来ます！ (2020年12月15日 17時) (レス) id: b386527986 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - H2Oさん» H2O様、コメントありがとうございます。本当に大変お待たせ致しました…！私自身、もう今さら更新しても…と不安になったりもしたのですが、H2O様がこうしてまた来てくださったと知れてとても嬉しく、安心しました。今後とも気長にお待ち頂けると幸いです…！ (2020年12月13日 16時) (レス) id: ddd711f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：重 | 作成日時：2019年11月1日 6時
