参 ページ11
クラスメイトはAが養護施設暮らしだということを知ると、いじめるどころか気を遣うようになった。Aに渡された配布物を代わりに配ったり、給食を量を多くしたりと、それはもうやりすぎな程にAに優しくするのである。
恐らく学校でくらいAに楽をして欲しいと思っての気遣いなのだろうが、ここまで来るとまるでAの方がいじめっ子のように思えてしまう。
つまるところ、彼らにとってAは「友達」だとかそういう次元の存在ではなくなってしまっているのだ。Aとしては同じクラスの仲間なのだから対等に接して欲しいのだが、与えられた好意を無下にもできずズルズルとこのような生活が続いた結果、友達をつくるタイミングを完全に逃してしまったのだった。
「ねえA、君もしかして級友に距離を置かれてるんじゃ」
『……』
「…何かごめん」
しんぺい神の一言がグサッと心に刺さり、思わずAは切ない表情になる。
色々とまどろっこしい言い方をしたが、つまりはそういうことだ。Aはクラスメイトに距離を置かれているのである。自覚はしていたが、こうもストレートに言葉にされると流石のAも傷付く。
例えるならそう、心臓を大きな鎌で真っ二つに切り裂かれたような……
「いたっ」
刹那、教室に女子生徒の声が響いた。
「ど、どうしたのハルちゃん？」
「あっ、ごめんね驚かせて。何か急に手が痛くて…」
「手？…うわっ、ハルちゃん血出てるよ！」
「えっ！ほんとだ、いつの間に…」
「何か最近怪我する人多いよね。私も昨日指切れたもん、ほら」
「あ、だから絆創膏してたんだ。そういえば早川も腕切ったって言ってたなー」
「みんな切り傷って凄い偶然だね」
どうやら手を怪我してしまったらしい。様子を見るに大きな怪我ではなさそうだが、なんの前触れもなく急に怪我をするなんてことがあるだろうか？
疑問に思うと同時に、Aは少し嫌な予感がしていた。
突然の怪我、そして切り傷。思い当たるのはあの妖しかいないが、でもまさかこんなに大勢の人間が集まっている場所に来るなんて……。
『(…嫌な予感、当たらないといいな)』
風もないのにふわりと揺れたカーテンを眺めながら、Aはそんなことを思った。
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重(プロフ) - たむさん» たむ様、コメントありがとうございます。ご心配をおかけして申し訳ございません。私生活の方が忙しくなり、本当に長い間お待たせしてしまいました…。今年になってようやっと落ち着いてきましたので、ぼちぼち更新を再開していきたいと思っております！頑張ります！ (1月30日 0時) (
レス) @page50 id: 8427fb6990 (このIDを非表示/違反報告)
たむ(プロフ) - とても好きです。終わってしまったのがとても悲しいですが更新がされることを待とうと思います。お体に何事もなければ良いのですが、体調が優れないことがないようお祈りしております。 (1月2日 16時) (レス) @page45 id: eba900a9f0 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 缶コーヒーさん» 缶コーヒー様、コメントありがとうございます。滅茶苦茶面白いとのお言葉、本当に嬉しい限りです…！今後とも楽しんで頂けるよう精進していきますので、何卒よろしくお願いいたします。 (2020年12月15日 17時) (レス) id: ddd711f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
缶コーヒー - 初めまして、缶コーヒーと申します。滅茶苦茶面白いです！まだ否ログイン者なのですが、更新されたらまた来ます！ (2020年12月15日 17時) (レス) id: b386527986 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - H2Oさん» H2O様、コメントありがとうございます。本当に大変お待たせ致しました…！私自身、もう今さら更新しても…と不安になったりもしたのですが、H2O様がこうしてまた来てくださったと知れてとても嬉しく、安心しました。今後とも気長にお待ち頂けると幸いです…！ (2020年12月13日 16時) (レス) id: ddd711f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：重 | 作成日時：2019年11月1日 6時
