やさしいまどろみ 01 ページ6
｢お？｣
夜の肌寒さに珍しく目を覚ましてしまったコネシマは何となしに廊下を歩いていると、思わず素っ頓狂な声をあげた。
トントンの部屋の前で、見慣れた小さな影が立っているのが見えたのだ。
こんな夜中に一体どうしたというのだろう、とコネシマはその影に声をかけた。
｢何やA、廊下で反省中か？｣
良い子のAがそんなことをされるなど微塵も思っていないが、コネシマは本気半分、からかい半分でそう尋ねる。
案の定、Aはぶんぶんと首を横に振って否定した。
廊下に立たされているわけでは無いとなると、寝小便でもしたのだろうか。それともトントンにトイレに着いてきて欲しくて……コネシマの頭には様々な考えが浮かぶ。
｢トイレくらいやったら俺が着いてったるけど｣
『んー』
｢何や違うんか？｣
今度は控え目に否定をしたAにコネシマはいよいよ首を傾げる。
数打ちゃ当たる、といった風にいくつも予想をあげていくと、Aはコネシマが｢怖い夢を見たとか？｣と言った途端に申し訳なさそうな顔をしてコクリと頷いた。
成程な、と事情を理解したコネシマは胸の前で腕を組む。
つまり、Aは怖い夢を見たのでトントンの部屋に入ろうとしたが、ただでさえ睡眠時間の短いトントンを起こすのは気が引けてしまい部屋の前で佇んでいたのだ。
｢子供がそんなん気にしなくてええねん！何なら俺が起こしたろか？｣
『！！』
｢ちょっ、やめろやめろ！分かった！起こさんからズボン離せ！！｣
コネシマがトントンを起こそうとドアノブに手を伸ばすと、Aは慌ててそれを止める。
その際、身長差のせいでコネシマのズボンを掴む形になってしまい、コネシマもまた慌ててAを止めた。
｢はー…と言うか、そもそも子供を1人で寝かすっちゅーんが納得いかんねん俺は。何かあったらどうするつもりやねん｣
普段からメンバーに｢心が無い｣とからかわれているコネシマだが、実際は責任感が強く常識のある男である。Aを特に気にかけているのもコネシマなのだ。
するとコネシマは何やら考えるような素振りを見せると、にっと笑ってこう言った。
｢だったら俺と寝るか？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 617人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
重(プロフ) - 緋彩さん» 緋彩様、コメントありがとうございます。小さい女の子とお兄さんがほのぼのしてるのが好きなんです…可愛いと思ってくださり嬉しいですー！ (2019年1月18日 21時) (
レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
緋彩(プロフ) - 主人公も可愛いんですが､個人的にショッピ君がにゃーって言ったの可愛い！ (2019年1月18日 20時) (レス) id: 5f8954327f (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 結衣さん» 結衣様、コメントありがとうございます。ふえぇ…嬉しいです…読んでくださりありがとうございました……！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
結衣(プロフ) - はえぇ...すごいですぅ...完結お疲れ様です (2018年12月30日 19時) (レス) id: 462408b9f9 (このIDを非表示/違反報告)
重(プロフ) - 杉山さん» 杉山様、コメントありがとうございます。早速見て頂けたようで嬉しいです！大変お待たせしてしまいもしかしたら忘れてしまっていないかと心配しておりましたが、覚えていてくださったようで良かったです…！素敵なリクエストありがとうございましたー！ (2018年12月23日 8時) (レス) id: 2985056c9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：重 | 作成日時：2018年7月15日 18時
