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其ノ陸 ページ6

貴「芥川君。」

芥「…!」




声を荒らげる様にして悲痛な言葉を口から零す芥川の頬にするりと手を添えて柔らかな微笑みを称えたままその包み込んだ頬を撫でる。
慈しみすら感じる目線や声色に芥川の目は大きく見開かれる。




貴「私にとって治のいない場所,否,世界は君が感じている治がいなくなったことへの空虚な気持ちの何億倍も地獄だ。離れてみて分かったよ。私にとって治は空気だ。治が居なければ私は息が詰まってしまってタヒんでしまうだろうね。そのくらい私にとっての治は大事なんだよ。そして必要なんだ。済まなかったね。置いて行って。芥川君。」




そこまでを頬に手を添え撫で続けたまま言えば芥川はその手を振り払い先程の熱を帯びた表情から何時もの無感情で表情のない顔に戻ればAの方をしかと見ると口を開く。




芥「確かに。マフィアにいる間の貴方達は僕にとっての目標であり,指標でした。ですが,もう,マフィアに居ない,マフィアを裏切った貴方達は捕縛対象であり,消す存在だ。次に会う時,それは貴方をコロす時だ。Aさん。」




そこまで言い終わった芥川は自身の肌がぞわりと粟立つのを感じる。マフィア時代の雰囲気をその体からじわじわと放出すふ太宰Aがそこには居た。その顔に端正で,しかし見る人が見れば歪んでいるとも言えるようなにやりとした笑みを浮かべ冷や汗をかきそうな芥川に向かってこの世の何よりも低い声で囁くように言う。




貴「ふふ 。あぁ。やってみ給えよ。やれるものなら。」




それに対抗し,負けぬようにする様に,芥川は言う




芥「えぇ。必ず。やってみせますよ。Aさん。それでは,僕は別の仕事があります故。」




とその長く黒い外套をはためかせながら路地裏へと消えていく。その背を眺めながらAは心底面倒くさそうに




貴「また面倒臭いのに声掛けられたねぇ。仕方がないことだけれども。さて。芥川君ったら用心深くないんだから。私が何もせずに君を帰すわけがないだろう?」




と何処から出したのかヘッドホンを取り出して先程芥川の外套の襟に忍ばせた盗聴器の拾う音へ耳を傾ける。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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は る 。(プロフ) - 設定も関係性もめちゃ好きです!!更新心待ちにしております(T_T) (2022年9月20日 4時) (レス) @page4 id: 991565de73 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル(プロフ) - 七巳流さん» 教えて頂き誠にありがとうございます! (2022年9月15日 18時) (レス) id: 8a29f06bea (このIDを非表示/違反報告)
七巳流 - オリフラたってます。設定だけでも面白いですね!! (2022年9月15日 18時) (レス) @page1 id: 3df5dd07dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ジゼル | 作成日時:2022年9月15日 18時

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