「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ24)

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佐野さんが会議で「フレンチトースト」って言った時は心臓が止まるかと思った。

今朝彼に作った料理だから

私が男の人のために作った、初めての料理。

料理って言っていいのか分からないけど

「うまいじゃん」なんて言って美味しそうに全部食べてくれた佐野さん。

卵と牛乳に浸してそれを焼いただけなのに。そんなに気に入ってもらえたのかな

胃袋を掴むのは、確かに大切だけど …

「んー… 」

玲於「何してんの(笑)」

休憩室の自動販売機の前で

コーヒーにするか紅茶にするか迷っていると、タイミングよく現れる彼

玲於「俺のオススメはいちごオレ」

「それ、ちょっと甘過ぎませんか？って、あ！」

勝手にピッと「いちごオレ」のボタンを押され

取り出し口に落ちてきたピンク色の牛乳パック
… やられた。

あんまり飲まないソレを取り出すと彼はクスクスと笑った

玲於「飲んでみ？うまいから」

「えー… 」

玲於「分かった。ジャンケンして勝ったら俺がもう一つ奢ってあげる」

ほんと、意味がわからない
なんでそんなに楽しそうに話すのか。

今まで全然話しかけてすらくれなかったのに、最近やたらと構ってくる

しかも、私が佐野さんをターゲットにしたぐらいのタイミングから

これといって、私からはまだそんなにアクションを起こしてないのに

「 … あ、負けた」

玲於「負けたら俺の言う事聞いてね」

「え、そんなの聞いてません」

玲於「うん、今作った」

… この人には振り回されてばかりだ

ワガママで何考えてるか分からなくて、イタズラっ子で。

でも時々優しくて
お酒が弱くてすぐ人に甘えてくるし本当掴めない

玲於「俺のこと佐野さんって呼ぶのやめて」

「え、どうしてですか」

玲於「みんなレオって呼んでるから。俺も赤城さんって呼ぶのやめる」

「 … じゃあ、玲於さん」

玲於「ふっ、まぁ … それでいいけど(笑)」

涼太くんも、他のメンバーも

私の事「 Aちゃん」って呼んでくれるのに
確かに彼は一度も名前で呼んだ事はなかった

「赤城さん」とか「赤ちゃん」とは呼ばれた事あるけど

「 … 玲於さん」

玲於「ん？」

「じゃあ私の事も名前で呼んでくださいね」

玲於「分かった、Aさん」

“ Aさん ”

名前を呼ばれただけなのに、胸が熱くなるのはなんでだろう。

彼の声は心地良くて好きだ

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