「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ23)

今日:36 hit、昨日:14 hit、合計:424,606 hit

stage 23 ページ23

.

夏に出す居酒屋えぐざいるのメニューを決める会議でも、赤城さんは一緒だった。

どんなメニューにするか、タイトルはどうするか

そんな企画の時には彼女は楽しそうに意見を出したりメモを取ったりする。

「なるほど、良いですね！」

会議の最中でさえも、俺は赤城さんの事が気になってついチラチラと見てしまう。

何もなかったとは言え、一晩一緒に過ごしたんだ

膝枕までしてもらってさ … 普通意識するとかないの？

なんでそんなに冷静で居られるんだよ

彼氏持ちの落ち着きってやつなのか。

「 … ？」

玲於「っ、」

やべえ、ジッと見過ぎて気づかれた。

赤城さんてば俺の視線に気付いたのかさり気なくニコッと微笑んでくる。

目が合ってニコッとされたら、男は誰だってドキッとする。

本当、魔性の女 …

隼「玲於、聞いてる？」

玲於「あ、ごめん。何だっけ」

なんか調子狂う

あの人を落としたらどんな風になるんだろうって
興味本位で始めたゲームなのに

何故か俺の方が惹かれていってる気がするんだ

隼「メニュー何にする？って話。玲於は何系？」

玲於「 … スイーツ。デザートとか甘いやつ」

涼太「いいじゃん、女子ウケしそう」

パッと出たアイデアを呟けば、案外みんな好反応で
赤城さんもウンウン、と頷きながらメモを取る

どうせなら彼女の好きそうなモノにしたい。

玲於「あ、じゃあフレンチトーストは？」

龍友「またフレンチか。ハレンチやな」

裕太「フレンチとハレンチ … (笑)」

初めて食べた、赤城さんの手料理。

料理っつーのか分かんないけどマジで美味かった
彼女の家庭的な一面を知れた

俺だけしか知らない味

玲於「どう思う？フレンチトースト」

「え、私ですか？」

玲於「うん。赤城さん的には好き？」

「はい … 好き、です」

俺の問い掛けに、戸惑いながらも「好き」って言ってくれた。

まぁ普通好きじゃない料理なんて作んないでしょ

玲於「じゃあそれで」

瑠衣「玲於にしては乙女チックだね(笑)」

玲於「は？うるせーよ(笑)」

女子ウケだと思われたって良い

実際ファンの子が頼むわけだから、甘いものもいいと思うし。

赤城さんが好きだって言ってくれたからもう俺は満足。

次第に彼女の存在が俺の中で大きくなり始めていた

.