「 惚 れ さ せ 屋 」佐野玲於

stage 19 ページ19

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俺がいつもより多めに酒を飲めば、自然と酔いは回ってくるもので

その酔いに身を任せて赤城さんに甘えてみたら
彼女は余裕そうに微笑んで交わした。


しかも、その挙句彼女は帰ろうとまでした。

そんな簡単に俺が獲物を帰すわけがない





「 … 可愛いヒト 、」





俺が寝たフリをして彼女の肩にもたれかかって数分後、赤城さんはポツリと呟いた。

そして小さくふふっと笑ったような気がした

俺のことを “ 可愛い ” と言った意味はよく分からないが

どうやら嫌われてはなさそうだ


ホントは眠たくなんかなかったけど、こうでもしなきゃ彼女に触れられない気がした


…




玲於「 … 来ねぇの？おれんち 」

「 いや、でも … 」




マンションの前まで来れば、その勢いに任せて連れ込めるはずなんだ。

俺の今までの経験上、この決め台詞を言えばどんな女の子も頷いてついて来てくれたのに

やっぱり手強いな、簡単には上がろうとしない





「 ダメですよ、もう夜遅いですし 」

玲於「 何がダメなの 」


「 こんなとこ誰かに見られたら … 」


玲於「 誰も見ねーし、いいじゃん 」





こんだけ俺が押しても「 でも、」と中々渋ってついて来ない。

タクシーが行ってしまうと観念したように「 じゃあちょっとだけ 」と眉を下げた

そんなに俺と2人きりになるのイヤなの？

なんて、ちょっとムカついたから手を握ってやった




「 佐野さん？」

玲於「 こっち 」




飲み直そう、なんて理由で部屋の中に連れ込むと、彼女はキョロキョロしている

大丈夫だって、そんなすぐ取って食わねえし？





「 お洒落さんですね、やっぱり 」

玲於「 そ？案外綺麗にしてるでしょ 」


「 ふふ、確かに 」





小さく笑っただけでも、彼女のことが可愛く思えてくるのは俺が少し酔っているからなのか

この人を落としてやったら絶対面白いのに
って思ってた俺が惹かれている気がするのは何故だろうか




玲於「 笑った方が可愛いよ 」

「 それは … どうも？」



やっぱりこの人は小悪魔だ

あんなにクールビューティ極めてた人が、ツンツン突けばどんどん柔らかくなってく

面白い。会う度に色んな顔が見えるんだもん

もっと俺にしか見せない顔が見てみたい






「 佐野さんは、寝てると天使みたいですね 」

玲於「 何それ 」

「 起きたら毒舌なのに … 」


玲於「 は？うるさ(笑)」





へへ、と悪戯っぽく笑う赤城さんは

いとも簡単に俺を虜にさせる






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