「惚れさせ屋」佐野玲於 (ページ40)

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Reo side

やべー、やっちゃった

ほろ酔いになった俺は調子乗ってAちゃんに対して積極的になっていた

普段は自分からグイグイ行くのはそんなに得意じゃないけど

今日のチャンスを逃せばこのままズルズルと平行線のままで終わりそうで。

多分、焦ってたんだと思う。

他の人に取られないように、って

「 … え？」

彼女は目をパチパチさせて、固まってる。

何が起きたのか分からないみたいに、俺の顔を見たままフリーズした

そりゃ、付き合ってもないのにいきなりキスなんてしたら普通ビビるよな

玲於「 … ごめん、急に」

「うん … 大丈夫。」

大丈夫なんかい。
まさか俺が酔ってると思って許してる？

前に飲んだ時、亜嵐くんが「玲於は酔ったらキス魔になるから」ってバラしてたから？

「玲於さん、ちょっと飲み過ぎじゃない？」

玲於「いや、普通だよ」

「私、やっぱ帰るね」

玲於「待って」

Aちゃん、俺がキスしてから一度も俺の事を見てくれない。

目も合わせないで「帰るね」なんて言って玄関に向かってくから

俺はその後を追いかけて、腕を掴んで引き留めた

「 … やっぱり、こういうの駄目だよ。何もなくても、彼女さんに誤解されちゃうし」

玲於「 … 別れた。」

「え？」

玲於「とっくに別れてるよ、アイツとは。」

そう言えば、彼女は驚いた顔して俺を見る
やっと見てくれた、俺の顔。

ちょっとだけ紅くなってるのは、俺のせいって事でいいの？

「そう、なんだ」

玲於「うん」

帰ろうとする彼女を、とりあえず元いたソファに座らせる。

そして今度は徐々に俺から距離を詰めてみる

… やっぱり、ちょっと緊張してんのか瞬きが多いの

「れ、玲於さん … 近い」

玲於「うん」

「なに、これ … ちょっと待って」

あーあ、Aちゃんって本当悪い子。

俺がどんどん顔近づけたら普通、この後何されるかぐらい予測できるのに

待って、って言いながら全然逃げないし？

だからもっと顔近付けてやると、覚悟したように目ぎゅって瞑るの

なに、もっかいされたいわけ？

玲於「なに、その顔」

「だ、って」

玲於「だって何」

「玲於さんが … さっき、」

玲於「うん？」

「ちゅー、したから … 」

何こいつ、可愛すぎだろ

もう駄目だ俺これ以上なにも手出さないなんて無理

Aちゃんが欲しくて堪んねぇわ

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