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噂をすれば影、とは、このことなのだろう。
私は「ヤバイ」と本能で悟った。
ピリッと張りつめる教室の空気。皆、さっきと変わらないで、普通に喋っているのに、どこか可笑しい。
皆も本能で悟ったのだろうか。
あぁ、でも。
さきほどの「片づけ」をしたのは私とユイだし、皆はどこか安心しているのかもしれない。
自分には不幸は訪れないと思っているのかもしれない。
つまり、皆は他人のことなんてどうでもいいんだ。
とくに、私なんて。
「ノアぁ？どうしたの？」
ノアのグループの一人がノアに話しかける。
余計に張りつめる空気。
私は外を見ているフリをした。ユイもだ。危険だと察知したらしい。
私とユイは、外をただ眺めている「教室の中にいる一人」として教室に溶け混んだ。
「あれ!あれあれ!」
「ん？……あ!何あれぇ!?」
「うっそ。片付けてある……!」
やっぱりコイツらか。
ノアたちが雅ちゃんの机を……!
私は校門に目線を移した。
雅ちゃんは……いない。この分だと休みだろうか。
出来れば休みであってほしい。
いくらなんでも、こんな修羅場には来てほしくない。
「誰がやったの？片づけないでって……言ったよ、ね!?」
「ね」をやけに強調したノアの声が聞こえる。
私とユイはノアの方を向いた。皆もノアの方を見ている。
「誰？やったの」
「今名乗り出た方がいいよ〜？」
「ノア怒ると怖いんだから!」
「誰かな？誰かなあ……？」
皆ビクビクしている。男子でさえも。
それほどノアは怖い存在。
聞いた話だと、小学3、4年くらいのとき、当時のクラスを学級崩壊にしたとか。しかも、先生を軽いうつ病にさせたらしい。
そのときは、今よりも酷かったようで、逆らう人には色んな罪を擦り付けたり、いじめなんてテレビにでも映したら放送禁止になり裁判にでもなりそうなほど酷かったとか。
そんなやつ相手に逆らえるはずがない。たちむかえるはずがない。
もし何かの罪を擦り付けられたりしたら、高校が……!
今は進路を大事にしたい時期なのに!
「……んもう!!いいから話せ!!あんたら、こんなに大勢居たのに誰一人目撃してなかったと言いたいのか!?早く言えよ!!」
大声で叫ぶノア。
目を離せない。離したら絶対疑われる……!!
あぁ、誰も私達のことを言いませんように!言いませんように!!
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作者名：ムクロねこ | 作成日時：2015年7月6日 0時
