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「たっだいま〜!A〜!疲れた〜!」
「あぁ、ユイ。おかえり」
「本当に無理!委員長嫌い!嫌い!」
「そりゃ疲れただろうねえ。お疲れ」

私の前の席のイスにどかっと座り、「委員長嫌い」を繰り返し呟くのは、委員会の集まりに行っていたユイだ。
これで暇ではなくなるだろう。

だがしかし、疲れるだろう。
なぜなら、ユイは一度こうなるとなかなか戻らないからだ。

ユイは同じ委員会の委員長が苦手だ。
理由は、ユイがバドミントン部のときに、その委員長から見下されていたのだそうだ。
嫌がらせも少し受けていて、そのストレスと部活の厳しさに心が折れ、今では帰宅部と言っても過言ではないパソコン部に入っている。
ちなみに、ユイによるとパソコン部は天国だそうだ。

「委員長ね……まさか同じ委員会になるなんてね」
「あの委員会やめたい……でもやめれない……」
「ハイハイ、元気出しなって」
「無理。吐き気する。委員長見ると吐き気がとまらなくなる」

ユイにとっては、委員長はトラウマそのもの。化け物のように見えるのだそうだ。

私は瞳に光のないユイを哀れみながら、どう慰めるか考えた。
このままでは、私の方も鬱になってしまう。疲れる。
それにそろそろ昼休みも終わる。
授業中もこんなんだったら、きっと先生の言葉や黒板に書き込まれたことはは頭に入らず、勉強が少し遅れるだろう。

唯一の友達のためだ。
頑張らなくては。

「委員長、性格ブスだもんね」
「そう!そうなんだよ…!」
「陰湿だし」
「うん!」
「顔面も崩壊してるよねえ」
「うん!うん!」
「あと友達いないらしいね。性格悪すぎて」
「そうなんだよ!!分かる!?分かってくれる!?」
「そりゃあ、友達が嫌いな人だよ?好きなわけないじゃん。むしろ大嫌いすぎてね…」

ユイの目に光が宿った。
よし。これならなんとかなる。
あとは適当に委員長の悪口を言っておけば……!

「さっすが!さすが私の友達!いや親友!いや相棒!大好きだよA〜!!」
「痛い痛いって。そんなに強く手を握らなくても……」
「うわあ!うわあぁ!もう、ほんっと嬉しい!Aは分かってるよ!」

イスから立ち上がって、ユイがぴょんぴょんと跳ねた。
ユイのおさげの髪も少し遅れてにぴょんぴょん跳ねる。校則で禁じられているピンク色の派手なゴムがチラチラ見える。
なんか可愛いかった。
校則違反をしていても、そのゴムがユイに似合っていて、とてもユイがキラキラしていて。
よく分からないけど、「良いなあ」って思った。

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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時

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