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「そろそろ夏休みね〜」
「うん」
「宿題早く終わらせてよ?」
「……」

早く家に着かないかな。
早く日曜日借りてきたDVDが見たいんだよ、私は。
確か……残り4本見れば全部見たことになるはず。


……4か……。


4……日本では不吉な数字と言われている。別の読み方で「し」と言うから。
「し」は「死」を連想させる。
いつもだったら何とも思わないけど、さっきの糞共のことがあったから、「死」を思い出すと嫌な気分になる。

一瞬、誰も座っていない雅ちゃんの席に、花瓶が置かれているのを想像してしまう。

私が黙っていると、お母さんが思い出したように言った。

「お盆のとき忙しくなるねえ」
「え?なんで?」
「ん?Aに言ってなかった?……ほら、お母さんの実家の方のお墓参りのこと」

知らない。
どういうこと?お母さんの実家の方のお墓参りは毎年行ってるし……。

「今年はねえ、ちょっとばかり整理するの」
「………はあ?」
「整理よ、整理」
「どういうこと?」
「えっとね……お母さんの実家の方のお墓はちょっとばかり……あの、石みたいなのあるじゃない?墓石?だっけ?それが多いじゃない?」

去年行ったお母さんの実家の方のお墓を思い出す。
お母さんの言う、「墓石」が多くて、線香を置くのが大変だったっけ。
結構古いのが多くて、隣のお墓が綺麗で墓石がまとまっているのを見て恥ずかしくなっていた気がする。

「整理?なんでまた今年に」
「今年は美也子お婆ちゃんの90歳の誕生日でしょ?それで結構親戚が集まるのよ」

美也子お婆ちゃん……母方のひいお婆ちゃんだ。
そうか。もうそんな年か。
それじゃあ、いつ死んでも……__。

私は考えるのをやめた。

「あれ?でも美也子お婆ちゃんの誕生日ってお盆じゃないよね?八月の……えっと……」
「2日」
「そ、それ。なんでまたお盆に…」
「美也子お婆ちゃんが、2日じゃなくてお盆に来てくれって色んな人に言ったのよ。なんか、お盆のほうが皆仕事とか休みやすいし、何より皆にゆっくりしていってもらいたいんだって」

ゆっくり、ねぇ。

「スーパー寄るけど何か買う?」
「ジュース」
「分かった。いつものね〜」

車がよく行くスーパーの駐車場でとまる。
お母さんが車から出ていくのを確認してから私は肩にかけていたスクバから本を取りだし読み始める。

もう読み終わっている本だった。

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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時

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