三十九話 ページ44
なぜそんなことを聞くのだろうか。
あろうことか私に。宿儺を人間と言った人など私は自分を除き誰も知らない。
けれど、今の宿儺が言ってることはそういうことではないのだろう。今の宿儺が言いたいことは、
『いいや、お前は人間じゃない』
両面宿儺は人間か人間じゃないかだろう。
でなければ私は宿儺のことを人間だと答えることくらいわかっているだろうし。
「...なぜだ」
『私は宿儺のことは人間だと思っているが、両面宿儺のことを人間だとは思わん』
できればお前のことも私の愚弟であり人間だと思いたいが、そこを破ってしまえば意味が無くなる。
私のケジメがつかなくなる。
「宿儺と両面宿儺はお前にとって違うのか」
『あぁ、違うよ。あの子は人を殺しはしなかった。けれど、両面宿儺は人を沢山呪い、......殺した』
まぁ、あの子も殺そうとはしてたが、、、
結論的にはしてないしいいだろう。
「宿儺は人を呪わなかったと?」
『わからない。それは私がずっと考えていた疑問だった。あの子は全てから忌み嫌われていた。そんな子が人を呪わないとは思えぬのだ...。なぁ、あの子は人を呪ったのか?』
「...さぁな忘れてしまった」
『そうか...』
思わず泣きそうになり誤魔化すため上を向く。
それに宿儺が気付かぬ訳もなく
「なんだそんな悲しいことだったか?」
『っだってあの子にはただの人でいて欲しかったからっ...人から離れれば何事もなく過ごせると思ったのだ。でも、それを壊したのは私、お前が生まれたのも私、全て私のせいなんだよ』
我慢出来ず1滴だけ瞳から零れてしまう。
自嘲気味に涙を流しながら宿儺を見れば一瞬ほんとに一瞬だけ宿儺が凄く辛そうな顔をしてくれて、
やっぱりこの子は優しい子なんだと教えてくれる。
「....や...ろ」
『なんと?』
「自分を呪うのをやめろ」
『私は自分を呪ってなどいないが?』
「無自覚なだけだ。無意識に自分を呪ってる。今すぐやめろ、その呪いは自分を壊すだけだ」
『大丈夫だよ』
おかしなことを言う。例え自分を呪っていようと気付かないはずが無い。宿儺の思い過ごしだろう。
「なにがっ!」
『そろそろ体が起きるみたいだ。話はまた今度にしよう』
「なっ!待て!!」
『別にいつでも話せるだろう?またな宿儺』
「っ!!...A...!!待てA!!!」
ニッコリと笑いながら宿儺の制止を聞かずに私は戻っていった。
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アヤン - マジですごいっす!これからも頑張ってください!花御の言葉が逆再生!原作通りですごいっす! (11月19日 19時) (レス) @page39 id: de6c821a65 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - どうせお前らプリウス乗ってんだろ?!ってやめた方がいいと思います。東京の事故の事で言ってるのかもしれませんが、老人がプリウスだけ乗ってるとは限りませんよね。プリウス好きとして不愉快でした。 (2022年1月23日 23時) (レス) @page34 id: ad6dd6c82c (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぽんず(プロフ) - 虎杖が映画見てた部屋は高専の地下にありますよ〜更新頑張ってください!たのしみにしてます! (2021年5月26日 22時) (レス) id: 649b5b4eec (このIDを非表示/違反報告)
雪華(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!最近更新が遅れて申し訳ありません。もうしばらくお待ち下さい。 (2021年4月1日 9時) (レス) id: b1173b4699 (このIDを非表示/違反報告)
nene(プロフ) - 今、読ませていただきました。面白いです! (2021年3月20日 22時) (レス) id: dec3a5e230 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪華 | 作成日時:2021年3月13日 17時