仇 ページ9
「は？」
それから愚痴愚痴と存在Ｘは、語り始める。
溜まりに溜まっておりますね。なんて心のどこかで思いながら聞いていれば流石の私でも困る。何故、見ず知らずの人の愚痴を聞かなければならないのか、と。
正直に云えば、目の前の存在Ｘが、何に憤りを感じているのかわからない。この男が短気なことは、理解しているつもりだ。だが、私には、理解できない。私には、何か大切なモノが欠けているからだろう。だが、それが何かなどわかるはずもない。
「お前･･･、反省というものを知らないのか？」
反省？そんな事、知っているに決まっているだろう。
「･･･。やはり、か･･･」
やはりとは、なんだ。ちゃんと私は、この歳で人間社会の全てをわきまえているつもりだぞ。
一時の沈黙。
そして存在Ｘは、何かを考え込んでニヤリと笑った。
アレ？ん？何か嫌な予感がする。
「お前の要望通りに転生をさせてやろう。」
「はい？」
「何だ？お前が望んだことだろう。」
嫌、まて。待つんだ存在Ｘ。確かに私は、云った。「あの人から離れられるのならば･･･」と。じゃあ、貴方の先程の笑は、なんですか？絶対、良からぬ事を考えてますよね？
「うるさい奴だな。」
私の頭の中を覗くのをやめてほしい。それといきなりテレパシーをするのも止めていただきたいのですが。
「もう、良い。分かったから。お前だ試すだけだな。さっさと行ってこい。」
はぁ？
何がわかったんだ。
お前で試すとは、なにをだ。
行くって何処にだ。
最後に存在Ｘが何かを言った気がしたが気にしないでおこう。
そして最後に
「巫山戯るな！存在Ｘめ！」
とまあ。そんな、記憶だ。
できるならば、忘れてしまいたい。
続く
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作者名：巫冥 | 作成日時：2017年7月23日 10時
