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突如として、既知でありながらも、未知である感覚に襲われてパニックになっているソレは同時に猛烈な息苦しさにのたうち回っているのだ。






肺が、全身が、細胞が、酸素を寄越せと叫ぶ耐え難い苦痛。思考の冷静さなど保ちえずに、ソレはひたらすらにのたうち回る。






ままならぬ感覚、もがき苦しむしかない苦痛。それら全てに(したた)かに締め上げられたソレの苦しみは、意識を容易(たやす)混濁(こんだく)させる。






そして、久しく泣いた事などない人間の感情から解き離された体は、反射的な行動として泣く。








意識が混濁し、自我すら混乱してしまったソレが次に眼を覚まして知覚したのは灰色の空だった。








ぼやけた世界・・・・・・いや、ぼやけた視界、だろうか。ピントの合わない眼で眺める歪な世界。




ハッキリとおぼつかない色の混濁した視野は、長らく感情を動かすことのなかったソレにとってすら心許ないものだった。

参→←壱



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作者名:巫冥 | 作成日時:2017年7月23日 10時

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