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「またいらして下さいね、土方さん。」

「ばあさんも、元気でな」

「よければまた、そちらの別嬪さんと一緒に来て下さいな」


『………?』

「…ああ、わかった。」



出るぞ、と小さく囁いた副長さん。
くるりと店主の女性を見てみれば、またあの優しい笑顔で
待ってますからね、と小さく手を振っていた。

それに少し頷いて出入り口の戸を開けた彼の後ろに着いていった。
パタン、と戸が閉まると、前に立っていた彼が振り返った。



「この後は?」

『…真っ直ぐ帰るつもりだけど…?』

「送ってく。」

『あ、ありがとう…』



ぎこちなくお礼を言えば、また彼は薄く笑う。



『…ごめんなさい、折角の休日なのに、気を使わせてしまって…』

「気なんざ使ってねぇさ。飯に誘いたかったから誘った。それだけだ」


『でも、お会計まで…』

「…あのなァ、こういうのは男が払うって相場が決まってんだよ。
お前が気にすることじゃねぇ。」


『そう…』



こういったところに、彼の優しさを感じる。
鬼の副長、なんて肩書きはどこに置いてきたのだろう。
こんなにも暖かい優しさからは、鬼だとかそんなものを微塵も感じない。


「で、真選組に来るのはいつになりそうだ?」


『………』


「オイ、まさか忘れてた、なんて言うんじゃねェだろうな」


『………………忘れて、ない』


「その間はなんだよ」


今言われて気付いたなんて言えない。
そうだ、そんな約束もしたな…
あの時は「今は行かない」と口約束をしてしまった。
そろそろ決めないと彼にも愛想を尽かされてしまいそう。



「まぁいい。待ってる、って言ったのは俺だ。大人しく待ってる。」


『…もう少し、待っててくれる?』


「もちろん。」


昼食もご馳走になってしまった手前、
彼を長々と待たせるのも忍びない。

そろそろ、決め時なのかもしれない。


『…この辺で大丈夫』

「…?家まで送るぞ」


『…そこまで、させられないから』

「んなこと気にしねえよ」


『私が気にする』



…そうか、と彼が言った。
どうしてここまで気にかけてくれるのか分からない。


「巷じゃ火事が流行ってやがるから、お前も気を付けろよ」

『…ほんとに、ただの火事なの?』


「…連続放火犯だ。今日も事態を嗅ぎ付けて現場に向かったんだが、
犯人らしき奴は見当たらなかった。」


「…放火犯…」


だから彼は今日、非番にも関わらずあの場所にいたのか…

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A(プロフ) - ゴリゴリ子さん» そう言っていただけるとありがたいです。とても励みになります。期待に少しでも応え、1日でもはやく公開できるよう頑張ります。コメントありがとうございました(*´-`) (2019年4月6日 14時) (レス) id: c6331c3cfa (このIDを非表示/違反報告)
ゴリゴリ子(プロフ) - 返信ありがとうございます!そうですね、私も急かすようなことを行ってしまいすみません、、、気長に待っているのでこれからも頑張ってください!!応援しております (2019年4月5日 23時) (レス) id: 3d03260b0c (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - ゴリゴリ子さん» 申し訳ありません。そちらはまだ調整中でして…。ここしばらく仕事が忙しく、公開するのはもう少し先なのですが、それまで待っていただいてもよろしいでしょうか?私の身勝手な理由で大変申し訳ありません。 (2019年4月5日 21時) (レス) id: c6331c3cfa (このIDを非表示/違反報告)
ゴリゴリ子(プロフ) - 女医さんシリーズのパスワード教えてくれませんか??? (2019年4月3日 1時) (レス) id: 3d03260b0c (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 桂落ち希望!!!! (2019年3月25日 1時) (レス) id: 1283a49d39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:A | 作成日時:2016年5月4日 21時

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