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小さい頃、よく見ていたものは


白衣を着た父の後ろ姿と
その父がくれた医学書だった。





父は仕事ばかりだった。
幼い私を構ってくれたのは母だけ。


父と母、どちらが好きか、と聞かれたら
私は迷うこと無く母を選んでいただろう。



夜遅い時間に帰ってきた父に
聞いてみたことがある。




『…お父さんは、なんのお仕事をしているの?』




縁側から夜空を眺めていた父は
ゆっくりと振り返った。






「…医者だ」




『…いしゃ、?』





いしゃ、とはなんだろうか。
幼い私にその知識はなく、

背の高い父を見上げ、軽く首を傾げれば
父は目を細めた。




「…興味、あるのか」




『………うん。』






間を開けて小さく首を縦にふれば、
父の黒い瞳がゆらりと怪しげに揺れたような気がした。




「じゃあ、来てみるか…俺の仕事場に」





—————Aには俺と同じ、医者の才能があるのかもな








滅多に笑わない父が、笑った瞬間だった。




夜空を背景に、月の光を背中に浴びて
私と同じ黒い髪と瞳が輝く。



薄く微笑む父に

私は自分と近い何かを感じた。






父と同じ、医者としての才能。





私は父にそう言われたその時のことを

今でも鮮明に覚えている。









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A(プロフ) - ゴリゴリ子さん» そう言っていただけるとありがたいです。とても励みになります。期待に少しでも応え、1日でもはやく公開できるよう頑張ります。コメントありがとうございました(*´-`) (2019年4月6日 14時) (レス) id: c6331c3cfa (このIDを非表示/違反報告)
ゴリゴリ子(プロフ) - 返信ありがとうございます!そうですね、私も急かすようなことを行ってしまいすみません、、、気長に待っているのでこれからも頑張ってください!!応援しております (2019年4月5日 23時) (レス) id: 3d03260b0c (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - ゴリゴリ子さん» 申し訳ありません。そちらはまだ調整中でして…。ここしばらく仕事が忙しく、公開するのはもう少し先なのですが、それまで待っていただいてもよろしいでしょうか?私の身勝手な理由で大変申し訳ありません。 (2019年4月5日 21時) (レス) id: c6331c3cfa (このIDを非表示/違反報告)
ゴリゴリ子(プロフ) - 女医さんシリーズのパスワード教えてくれませんか??? (2019年4月3日 1時) (レス) id: 3d03260b0c (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 桂落ち希望!!!! (2019年3月25日 1時) (レス) id: 1283a49d39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:A | 作成日時:2016年5月4日 21時

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