戸籍がほしい ページ40
「えへへ……なんだか、プロポーズみたいだね」
「? プロポーズはまた今度、ちゃんとするつもりだから安心してくれ」
「え?」
「今のは告白と言ったところか」
話が噛み合わない。
プロポーズはまた今度ちゃんとするつもりだから安心してくれ……今のは告白と言ったところか……零くんの言葉を咀嚼し、しっかり飲み込んで意味を理解したとき、顔が急激に熱くなった。
えっ何?! 今あたし知らないうちに告白しちゃってた?! 全然そんなつもりなかったんだけど!! ていうか零くんオッケーしたってことだよね待って頭がぐるぐるする……!!!
いろんなことが前頭葉を行ったり来たりして、ついにあたしの頭はパンクしてしまった。相変わらず顔は熱いし理解は追いついていないしで散々だというのに、零くんは楽しそうに笑う。
「嫌か? 僕と恋人になるのは」
「だって零くんとは十一才も違って……!」
「それは昔の話だ。今は僕のほうが四つも年上だし、僕は昔からずっとAが好きだったよ。なんら問題はないな」
「でもそれは親愛で……」
気づいていた。零くんが昔からあたしを特別に思ってくれていたことは。でも、彼は全く知らない土地に一人で放り出されて、不安なところにあたしが手を差し伸べたから、あたしのことを慕ってくれているのだとばかり……。
零くんはきっぱり否定した。ついでに叱られた。「Aは僕のことを子供扱いしすぎだ。十四才でも言うほど子供じゃない」らしい。いや十四才は子供じゃん。子供であることに変わりはないじゃん。
零くん曰く、十四才はすでに思春期に突入しており、恋愛や性について興味を持ち始める時期なのだから、恋愛がどういうものか、好きという感情がどういうものかわかっているものなのだそうだ。小学一年生の初恋じゃないんだから、その感情を否定するなと。
「……僕は気づいていたよ、Aが僕を好きでいてくれたこと」
「それはっ……! き、気づいてたの?!」
「もちろん。年の差を気にしてたこともな」
まあ、それは僕も同じだけどと付け足す零くん。バレてたとか恥ずかしい……!
ちょっと今は零くんの顔が見られない。あんなにかわいかった零くんがそんなことを言い出すなんて……零くんがそんなことを言い出しそうな安室透になることは知ってたけど。安室透は自然に甘い言葉を吐き出す。
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えりんぎ苺(プロフ) - よるさん» レス遅れて申し訳ありません、気づきませんでした……! 主人公をできるだけフツーの女の子にしたかったので、それが伝わって嬉しいです。十四才零くんとのやり取り書き足りないんですよね(笑) 完結させて頂きありがとうございます。コメントありがとうございました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ちょっと文字数が足りなかったので…完結お疲れ様でした! (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
よる - めっちゃ面白かったです!とくに主人公が凄く個性が強いわけでもなく、普通の人って感じがしてとても共感するし、読みやすかったです!(語彙力少なめなので伝わってると嬉しいです) 14歳の零くんと主人公のやりとりが鮮明にわかり微笑ましい気持ちになりました笑 (2020年6月5日 1時) (レス) id: e10e6d9ba2 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ゆるり。さん» 寂しく思ってくださるなんて……! 繊細で優しい書き方だなんて初めて言われました。すごく嬉しいです。こちらこそご愛読いただきありがとうございました。ぜひぜひ次もお付き合いください。コメントありがとうございました! (2020年5月31日 8時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり。(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品が更新されるのが楽しみで楽しみで、完結してしまったのが寂しいくらいです…。繊細で優しい書き方で、とてもわくわくしました。素敵な作品をありがとうございました!次も付いていきます! (2020年5月31日 7時) (レス) id: f1881e43ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月25日 21時