あの日、未来のトリプルフェイスを拾った。【名探偵コナン】

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ふむ、つくりすぎてしまったなと彼はわざとらしく呟く。「隣に行ってくる」と彼が言うと、読書していたはずのコナンくんが「ボクも行くー！」と元気に立ち上がった。

いってらっしゃいと見送ってから五分ほど。彼らは微妙な表情で帰ってきた。



「お帰りなさい……どうしたんです？」

「いや、いつもツンツンしている隣の少女が、『また野菜が固いなんてことないでしょうね』って言いながらいつものようにその場で一口味見したんだ」

「そしたらそいつ、『あなた熱でもあるの？ 珍しく美味しいじゃない』って言って鍋を奥に持ってったんだ！」

「……何か問題があるの？」

「大アリだよ！！！」



きっと哀ちゃんのことだな、と確信しながら聞く。ただ灰原哀が赤井さんのつくったカレーを美味しいと言っただけじゃないか……。あいつに限ってそんなこと、と信じられないものを見たような顔でぶつぶつ呟くコナンくんを、信じられないものを見たような顔で眺める。

未だに呆けている赤井さんを無視して、フライパンで目玉焼きをつくる。カレーに乗せたら絶対美味しい。カレーを皿に盛り付けながら、そろそろ時間じゃないかと教えてやった。



「コナンくん、もう夕飯の時間じゃないの？」

「うん、でもあとちょっと……」

「蘭ちゃん怒るよ」

「だってあの灰原があそこまで言うカレー気になるじゃん！！！」

「そっちが本音か、素直でよろしい」



蘭ちゃんにはちゃんと連絡するよう言うと、コナンくんは素直に返事をして電話を掛けに行った。

コナンくんのお皿も用意して、サラダとスープもきれいに盛り付け、デザートを添える。カレーの上に半熟の目玉焼きを乗せたら完成だ。うん、我ながら見事な出来栄え。記念にスマホで写真を撮る。

ようやく我に返った赤井さんが席に座り、電話から戻ったコナンくんも赤井さんの向かいに座る。あたしはコナンくんの隣に座って、手を合わせた。



「いただきます！ …………ん、美味しいですねぇ」

「まさかここまでとはな……」

「美味しい……頭おかしいとか思ってゴメン灰原」



まさかの絶賛の嵐。

コナンくんは赤井さんに「蘭姉ちゃんに持って行っていい？」と許可を乞うている。赤井さんは「いいですよ」と頷いたあと、神妙なな顔つきであたしを見る。目が合った。



「本気で嫁に来るか？」



だから冗談に聞こえないって。

安室VS沖矢→←冗談に聞こえない

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