職場見学 ページ19
零くんには和食のほうが好評だった。
今日はちょっと時間に余裕がある。その余裕で、食器を洗ったり零くんの昼食を用意したりするのだ。かちゃかちゃ鳴る食器の音を聴きながら、零くんとのお話を楽しんだ。
「零くん、今日は外で遊んできなよ! 勉強ばっかりじゃつまんないでしょ?」
「そんなことないけど……僕が昼間から外で遊んでたら問題にならないか?」
「あ。そっか、平日だしねぇ……不登校設定にするのも無理があるか」
「確実に白い目で見られるな」
うーん、と唸る。それでも、ずっと中に籠りっぱなしだと身体に悪い。どうにか運動させてやりたいけど、でもこの間買い物に行ったときも、周りの人から好奇の目に晒された。あたしがいなくて零くん一人だと絶対絡まれる。危険だ。
零くんがもし大人だったら全然構わないのに、子供だとそういうところに制限がかかるのか。全く面倒な世の中だ。
「零くん目立つしねえ」
「日本人離れしてるからな。子供のころからバカにされてた」
「零くんのチャームポイントをバカにするとか目が腐ってんじゃないの? 零くん、帰ったらあたしの代わりにそいつ殴って」
「もう殴った。親友と一緒に」
「大喧嘩になりそう」
「なったよ」
ワーオ、と口に出す。零くんはわりと喧嘩っ早い性格みたいだ。でもなんとなくわかる。口より先に手が出そう。それでいつも先生に怒られてそう、と言うと、その通りだよと苦笑が返ってきた。
親友とは諸伏景光のことだろう。一緒に殴りかかるとか親友想いでちょっと羨ましい。
話が逸れた。零くんの外出方法だ。零くんは普通に家で勉強して、五時くらいになったらちょっと外に出る、という方法を提案したが、それじゃ普通すぎておもしろくないから却下する。
「ここでおもしろさ求めるか?」
「求めるよ! 人生面白くなけりゃ生きるの損だね」
「そうか?」
「そうだよ。やんちゃは若いうちにしとけよ? 大人になったらできなくなるからね」
Aは問題ばっか起こしてそうだな、と零くんが言ったのに対し、あたしが学生時代に起こした問題の数々を話す。大爆笑した零くんは、僕もいつかやるよ、と問題発言を残した。
あたしのやんちゃ話も尽きたころ、それならこれはどうだろうと、零くんにあたしのアイデアを話した。
「零くん」
「何?」
「職場見学に来ませんか!」
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えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……! 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね! 更新頑張ります。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです!さっき更新された話もまじ良かったです! 更新待ってますっ!! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです! 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか? コメントありがとうございました! (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月21日 19時