プレゼント ページ15
夕食が終わり、すると言って聞かなかった零くんをなんとか宥めて、いつも通りあたしが食器を洗った。
洗濯機を回してからお風呂を沸かし、零くんに勧める。零くんはタオルと下着と寝間着を準備して風呂場に向かった。
ずっと部屋に干してあった洗濯物を畳み、終わったあたりで洗濯機の終了を知らせる音が鳴った。零くんが湯船に浸かっていることを確認して、洗濯機から濡れた衣類を取り出した。それをまた部屋に干す。
零くんと入れ替わりに風呂に入り、さっと入ってさっと上がった。もともと長風呂はしないほうだったけど、ほら、零くんが入ったあとだって考えると!! ね!!
「お。お勉強中?」
「うん。髪、乾かさないの?」
「あとでね〜。どう? 解ける?」
「今のところは大丈夫。三分の一は終わったよ!」
「エッ早い……」
訊けば、今日はずっとリビングで勉強していたらしい。
この分じゃ明日にでも終わってしまいそうだ。若干引く。しかし零くんは気づいておらず、褒めて褒めてと言わんばかりにあたしを見上げてきた。ナチュラルに上目遣いである。やりおる。
両手で零くんの髪をぐしゃぐしゃにするように撫で回すと、零くんはくすぐったそうに身をよじった。子犬みたいだ。存外あたしは懐かれているらしい。かわいいやつめ。
しばらく金の髪を梳いて、蒼い瞳と見つめあう。あたしはその色合いから、存在を忘れていたアクセサリーを思い出した。
自室に放り投げてあったバッグから、ていねいに包装されている箱を取り出す。それを持って零くんの下へ戻った。
「それは何?」
「プレゼント〜」
「へえ、彼氏?」
「まさか! 恋人がいたら零くんここに置いてないって。これは零くんにだよ」
ニヤッと笑ってからかってくる零くん。駄菓子菓子、あ間違った。だがしかしあたしのほうが一枚上手だ。揶揄をひょいと避けて零くんにだと告げれば、零くんの目は真ん丸になった。
「僕に?」
「そう。昨日買ってたの。ほら、零くんが本選んでたときに」
「あー。いいの?」
「零くんに似合うと思って買ったから。いらないなら良いんだけど」
「……開けていい?」
「もちろん」
零くんは優しすぎるくらい優しい手つきでプレゼントを受け取った。ゆっくり、ゆっくり包装紙を破く。洋画内でクリスマスプレゼントをもらった子供の反応とは正反対のそれだ。
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えりんぎ苺(プロフ) - バッグ・クロージャーさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです……! 楽しみにしていただいているので、更新頑張らなくっちゃですね。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - ひかりさん» 面白いと言っていただけて嬉しいです。すぐに反応していただけるとは……わたしは幸せ者ですね! 更新頑張ります。コメントありがとうございました! (2020年5月25日 16時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
バッグ・クロージャー(プロフ) - すっごく面白かったです!更新楽しみにしてます! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 09ffad4c5f (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - めちゃ面白いです!さっき更新された話もまじ良かったです! 更新待ってますっ!! (2020年5月25日 16時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ苺(プロフ) - サクラさん» 面白いだなんて、すっごく嬉しいです! 零くん視点の予定はなかったのですが、もしお待ちいただけるのなら、完結後に番外編として書かせていただきたいのですが、よろしいでしょうか? コメントありがとうございました! (2020年5月25日 13時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎ苺 | 作成日時:2020年5月21日 19時