怒ってないよ ページ39
白い部屋の殆どが朱に染まる。
昔ぴくとが、私を刺そうとした奴を殴った時の気持ちが何となくわかる。なんで私の為に、とは思ったが、そんな事単純明快。
『私たち、親友だもんね。』
｢あああああああああああ………いた、い……｣
『ごめんな。もう少し憂さ晴らしに手伝えよ？』
私は笑う。
今、どんな顔をしているだろうか。
加虐的な？狂気的な？それとも慈悲を孕んだ？
分からない。分かりたくもない。
きっと私は今、人として醜い。
勇者なんてたいそれたものじゃなくて、生徒会なんて格好良いものなんかじゃない。それでいて一般人、一般生徒からも外れたヤバい奴。
『……なぁ、なんで召喚したと思うか。』
｢なに……を？｣
息絶えるまでは時間の問題。やり過ぎた。ならば、最後に世間話でもしておこう。
『私達の事を、だ。』
｢知らない…………の心情なんて、分からないに決まってる……｣
『……そうか。…少し私も怒りすぎた。悪い。』
｢悪いも何も、もう遅いじゃないか……｣
呼吸を挟んで四天王は話す。あと一分だな。
『だから最期くらいは世間話をしているんじゃないか。』
｢勇者に看取られる、最期、なんて真っ平御免、なのだが。｣
『いいじゃないか、無残に沢山の能力で袋叩きにされたり、高火力の炎で焼かれたり、虚空で存在ごと消された奴らよりよっぽどマシだろう。』
｢おい、待て、アイツらそんな死に方した、のか……？｣
私はこくりと頷く。
｢ならまぁ、勇者に看取られて死ぬのも悪くない………彼の事、頼みましたよ。｣
そう言って奴は息絶えた。
『勿論、責任は果たすよ。……やり過ぎてごめんね。』
私はそれだけ吐いて、彼らの方へと向かう。
『あーあ、汚れちゃった。大先生にお願いして綺麗にしてもらわんとなぁ……』
この世界が私の記憶で構築されているなんて信じられないが、現に私がこうなって欲しいと願えばそうなるのだ。私の世界で間違いではない。だから、皆のいる部屋へと行きたいな、なんて思ってみたりする。すると、目の前にひとつの通路が現れた。……凄いもんやな。
通路に足を運ぼうとした瞬間、不意に気配を感じて後ろを見る。
｢……やっほー。｣
そいつは、いつもと変わらないあの笑顔で、何気なく居た。
おかしい。幻覚だろうか。コイツが居ることを今は望んだ覚えは無い。ただ、心の底から実は望んでいたりしたのだろうか。
『なんでここに？……ぴくと。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 576人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Luma - ぺ神よ、それを先に言えw (2021年2月20日 17時) (
レス) id: b17ded2eab (このIDを非表示/違反報告)
ライアー - niさんすげぇ、、、 (2021年1月10日 9時) (レス) id: 21a1021849 (このIDを非表示/違反報告)
あしゅ(プロフ) - しおりんさん» コメントありがとうございます。更新程々に頑張りますね！ (2020年12月18日 19時) (レス) id: 8eec1eca06 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - これは…この過去はpktさんでは！？だったら美味しいです！更新頑張ってください！ (2020年12月18日 1時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
あしゅ(プロフ) - ライアーさん» コメントありがとうございます。もう少ししてからですが更新頑張りますね！ (2020年11月22日 12時) (レス) id: 8eec1eca06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
