【文スト】銀狼の家族

第十三話　出会い編七 ページ15

貴「凄いですね！」









鏡の前で子供の様にはしゃぐAの姿に、福沢は顔を緩めた。









福「今着ている其の浴衣、お前にやろう。









俺にはもう小さいからな」









福沢がそう云うとAは福沢の方を向き、顔を輝かせた。









貴「本当ですか！有り難う御座います！！」









福沢は照れ臭くなり、顔を背けると
辺りが夕陽で照らされているのに気付いた。









福「もう夕暮れか。飯は俺が作るが、其れでも善いか?」









貴「はい。あの、お料理教えて戴けますか?」









福「嗚呼。俺で善いのならば喜んで教えよう」









そして二人は、台所へ向かった_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。









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福「＿＿＿＿＿＿＿此れは此の様に切ると善い」









貴「凄い包丁捌き！」









Aは福沢に包丁の扱い方等を教わっていた。









端から見たら異様な光景である。









年端もいかない様な娘が、己より十歳は上であろうかと云う
長身の男に料理を教わっている。









そんな事に気付かず、二人は肩を並べて料理を作っていた。









まるで、其の様子は夫婦かのように。









やがて、自分達が其の様な関係になるとは知らずに
二人は其れ其れ、自分の隣に愛しい人が居る、と云う幸福に浸っていた。

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