070 無理をして ページ21
「急性胃腸炎!?」
「はい…。ストレスが原因じゃないかって…」
「…ストレス…」
「容態は?」
「今は点滴を受けてて、陸さんがついていてくれてます。救急車を呼んだ時も、病院に着いてからも、陸さんが全部てきぱき指示してくれて…」
「七瀬さん、病院暮らしが長かったっておっしゃってましたからね」
「私の責任です!負担をかけているとわかっていたのに、壮五さんについ甘えてしまって…」
「違う。俺のせいだ、全部…」
明らかに無理をしている壮五くんに頼りっきりになってしまった紡ちゃん、MEZZO"の仕事を1人で受け持たせていた環くん。今まで蓄積したストレスがとうとう爆発したのだろう。
「ソウもソウだ。ぶっ倒れる前になんでSOSを出せないんだ。仲間だろうが、俺たちは…」
「…壮五くんにそれは無理だよ」
「え?」
「みんなは壮五くんが弱音を吐くところ、誰かを頼るところを見たことがある?わたしはないよ」
「…そういえば、」
「もしかしたら、無理をして大丈夫ですって笑ってたアレが壮五くんなりのSOSだったのかも」
「………」
壮五くんが自分からSOSを出せない代わりに、もっと早く周りが彼の無理に気づいてストップをかけてあげるべきだった。
「紡さん。壮五くん、入院しなくていいみたいです。点滴終わったら帰って来れるそうなので、俺が後で迎えに行ってきます」
「ああ…!よかった…!大神さん、よろしくお願いします」
「…ソウゴ帰ってきたら、みんなでSOS聞きましょう。ワタシたちメンバーです。ソウゴのSOS、7つにわけてみんなで一緒になんとかしましょう。大丈夫です、タマキ。スマイル、スマイル!」
「………。あわせる顔なんかねーよ…」
それを聞いたわたしは、自分のせいだと自己嫌悪に陥っている環くんの手をぐいっと引っ張った。
「それでも言いたいこと、言わなきゃいけないことはあるでしょ」
「ッ!花音さん!?」
「ごめんでも、なんでもっと早く言ってくれなかったんだでも何でもいい!もっとちゃんと、壮五くんとぶつかって」
「!」
「………。人の気持ちは難しいから、誰にも読み取れないし、何もせずに完璧に理解するなんて絶対にできない。だからこそちゃんと口に出さなきゃいけないのに、壮五くんはそれが出来ないの…。もしそれができる環くんがその努力を怠れば、2人は一生分かり合えないままだよ。そんなの、みんな悲しいよ…」
「………。かののん…」
「会いに行こう。ちゃんと話そうよ。2人のこれからのこと」
「…うん」
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瑠奈(プロフ) - 068 嫌い の「自分を愛してくれる人を愛したいなんて思う人いる?」というセリフは変ではないでしょうか? (2019年5月21日 11時) (レス) id: 6936f9c053 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年4月12日 4時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:深瀬 | 作成日時:2019年4月12日 2時