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食事を終えて片付けてると、ひかるさんがお風呂場から出てくる。


「洗いもん、ごめんな。」

『あ、いや、わたしこれぐらいしか出来ないからやらせて下さい。』

「もういいから、風呂入れ。」


しっとりと濡れたひかるさんの髪や、ほのかに赤い体。

ビックリするぐらい“大人の男の人”で真っ直ぐに見れなかった。

冷たかったり意地悪だったり優しかったり。

いつも突然なんだもんなぁ。


『じゃあ、お風呂借ります。』

「ん。」


ここのお風呂は、やっぱりわたしのアパートのお風呂よりも大きくて。

その差が何故かくすぐったかった。



お風呂から上がると、ひかるさんは未だにパソコンで仕事をしていた。

休みの日でもこんな感じだろうか。

ご飯だってあんまり食べないって言ってたし。

この人体調崩さないのかな?


難しそうな書類とパソコンを睨み付けるひかるさんが心配になって、黙ってホットココアを作る。

それを差し出すと、ひかるさんは目を丸くした後ありがとうと言って微笑んでくれた。

それを見てから、おやすみなさいと言って部屋に戻ってベッドに入るけれど寝付けなかった。


何でだろう体は疲れているのに。

ベッドが違うからかな?

匂いが違うからかな?

とにかく眠れなくて、しかも落ち着かなくて。

何だか少し怖くなってしまった。

余計な事がグルグルと頭の中を駆け巡る。

漠然とした不安が襲い掛かる。

何が不安で、何がこんなにわたしの胸を締め付けるのか分からない。

もはや分からないから不安なのかも……


耳をすますと、カタカタってキーボードを叩く音が聞こえてきた。

それが何故だかわたしの心を安心させてくれる。

“誰か”が居るという、絶対的な理由だ。


気付いたら、毛布を持って部屋を飛び出していた。


『ひかるさん、』

「どうした?」


毛布を持ってリビングに来たわたしに、ひかるさんは顔を上げて首を傾げた。

何と言っていいか分からず俯くと、空気でひかるさんが笑ったんだと気付く。

馬鹿にされたと思って恥ずかしくて、握っていた毛布をギュッと握り締めた。

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あっぷるぱい(プロフ) - しょっぴーと主人公がお互いに依存してたならば私はこの作品に依存しそうです (2019年7月15日 23時) (レス) id: 23406a511b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年2月16日 23時

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