「愛してない」 (ページ13)

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大学はつまらなかった。

誰がなんの因縁で流したかは知らないけど、わたしが援交してるとか、ヤバイ奴と関わってるとか、変な噂を流されて今まで仲の良かった人達は自然とわたしから離れて行った。

根も葉もない噂を信じるなんてどうかとも思うけど、中学生じゃあるまいし変な噂流すやつもどうなんだ。

お陰様で毎日、影でコソコソ言われて視線を送られて、見せ物じゃないっての。

「ねえ、あんた。」

バチリと、1人の女の子と目が合う。

『なに？』

あんまり睨まれるから、わたしは思わずそう口にしてしまった。

その物言いが勘に障ったのか、彼女はテカテカ光ってる唇を引きつらせる。

「その傷、どうしたの？」

『別に？』

「殴られたの？」

余裕のない笑顔を貼り付けてわたしに質問するこの人に、首を傾げた。

何故そんな事が知りたいのか。

何故わざわざわたしの口から言わそうとするの？

『関係ないじゃん？』

試すような口調でわたしがそう言うと、彼女の綺麗に整えられた眉がぐにゃりと歪んだ。

そのまま彼女はわたしの首元を思い切り掴む。

周りの関係ない人達から小さな悲鳴が上がった。

いや、わたしの方が驚きで叫びそうなんですけど。

思わず目を見開くと、彼女はわたしの首元と鎖骨の辺りを凝視していた。

そこは昨日、翔太に付けられた痕だ。

「翔太に、抱かれたの？」

『……え？』

「翔太に抱かれたの？！」

彼女は顔を更に真っ赤にさせ、ヒステリックにそう叫んだ。

わたしには訳が分からなくて。

だけど次第に彼女の瞳が潤んで行くのを見て、なんとなく察しがついて来る。

翔太が、誰かと関係を持ってる事は知ってた。

だけど、何で？

何で同じ大学なの？

翔太は、知っていてこの人と関係を持ったの？

「知らなかった？」

彼女は、泣きそうな顔で笑う。

「自分だけが愛されてるって、思ってた？」

思ってたら自殺なんかしない。

「翔太には自分だけだって自惚れてんの？」

昨日そうじゃないんだって絶望したよ。

「あたしだけじゃないかんね。翔太にはまだ沢山女居るから！！！」

聞きたくねぇよ、そんな事実。