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『雅さんが認めたって……!深澤さんが認めたって!意味ない!』

「……、」

『だってひかるさんはわたしを好きになってはくれないから…』

「……」

『わたしを愛して、くれないから…』

「…アンタ、」

『過去聞いたって、意味ない!!』


逃げて何が悪い?

わたしはこうやっていつも逃げてきた。

そうやって生きてきた。

このままがいいだなんて、そんなのただのわたしのワガママでしかない?

いいよ、ひかるさんが何も聞いて欲しくないなら、わたしは聞かない。

そうするって決めたのはわたしだから。


「…アイツの、好きだった人から昨日、電話来た。」

『……』

「別に何ってない、近況報告みたいな内容だったけど。」


聞きたくない。


「その人、今まで所在掴めなかったから」


やめてよ。


「もしかしたら今、近くに居るかもしれない」


嫌。


「名前は……」





“桜乃”





それはあの時、ひかるさんが寝惚けてわたしに言った言葉。


気にならないようにしてたけど、気にしないようにしてたけど、足元から崩れてしまいそうな絶望感が襲う。


『……分かってた』


わたしの呟きに、雅さんが眉をしかめた。

それを見て、嘲笑うかのように笑う。

そんな自分を止められなくて、情けない。


『雅さんは、それをわたしに言って何がしたいんですか……?』

「……」

『どうして欲しいんですか、』

「……」

『間違えるんですよ。あの人。』


わたしの言葉に雅さんは目を見開いた。

それを冷めた目で流して、言葉を続ける。


『間違えるんです。その、さくのさんと。それで、わたしだって気付いて、ショックな顔をする。…馬鹿みたい。ほんとに傷付いてんのは、わたしなのに。』


止まらない言葉を、止まらないわたしを、誰か、止めて。

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かえで(プロフ) - この小説大好きです!!!いつも更新楽しみにしてます(^^)頑張ってください☆ (2016年3月21日 22時) (レス) id: 683565b60e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さと | 作成日時:2016年3月1日 16時

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