Limit 31. ページ31
『……その顔は、ようやく理解出来た──って顔だな?』
小さく笑みを浮かべながら問いかけた俊也に
顔つきを引き締めさせたAが頷くと、ゆっくりと口を開いて告げた。
『わかったよ。空を飛ぶには、何が必要なのか。どういう原理で動くのか──全部。
後は作り出すだけ。だから、その…………皆の力を……貸して欲しくて、』
言葉を選ぶように途切れ途切れに話すAを前に、翔達は互いの顔を見合わせる。
彼ら五人の殆どは、何故か虚を突かれたかのような表情を見せていた。
まるで夢現から目覚めたかのような、そんな顔つきだ。
そんな彼らを、この提案に対して困り果てているのだと
誤解したAは、後に頭を下げる勢いで頼み込む。
『都合がよすぎるかもしれないけれど、この資料は調べ終えたし……
資金集めも何も、生活を送るための協力ならするから! お願い、力を貸して!』
──唐突に、この資料を調べたいから一緒に住まわせろだの
それを終えたら今度は制作のために協力しろだの、虫の良い話だとは思っている。
だが資料のためだけに、たかが自転車の修理のお礼のためだけに
ここに住まわせてくれて、仲間意識すら持ってくれている彼らだからこその頼みだ。
『…………』
頭を下げっきりで相手の返答を待っているAを、彼らが見つめる。
そして、やがて笑みを浮かべた翔が椅子から立ち上がると
彼女に頭を上げさせるように肩に手を置き──力強く頷いて、こう言った。
『──もちろんだ、A。お前が今日まで頑張って調べてくれた
空を飛ぶための力……実現するために、今度は俺達も頑張らなくちゃな!』
『……そうだね。やろう! 僕達も空を目指すんだ』
『ああ。凛空さんの夢、届けてやらなきゃな!』
『…………ほ、本当に?』
頼み込んだのは自分だが、翔を始めに、白羽や颯太が
望んでいた以上の反応を見せたので、Aは戸惑ってしまう。
しかし俊也や凪斗も笑みを浮かべながら彼女に
しっかりと頷いて見せたので、間違いないのだと安堵する事が出来た。
『やろう! 空飛ぶ機械──制作開始だっ!!』
『『『おうっ!!』』』
翔が拳を突き上げながら景気よく言ったのに、
周囲の仲間もつられるようにして快い応答をして片手に拳を握った。
……Aの夢は、凛空の夢でもある。
そして、凛空の夢は──翔達の夢だ。
彼らにとっても、Aの申し出は願ってもいない事であった。
〜・〜・〜
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(゚Д゚)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか? (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フェイル | 作成日時:2015年8月30日 0時