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Limit 39. ページ23

彼らが資料室と呼ぶ部屋は、
倉庫の奥にひっそりと目立たずに存在する扉の向こうに設置されていた。

白羽はその扉の鍵を解除し、扉を開けてAを招き入れる。



『はい、どうぞ』

『……ありがとう』



翔や凪斗も、白羽と共に資料室に入って例の話に出て来た物を探し始めた。
わざわざ“探し始めた”のは、その資料の場所を誰も覚えて居なかったからだ。

というのも、彼らが最後にそれを目にしたのはもう二年ほど前の事だったらしく。

不用意に手を出さない方が良いかと、壁際に置いた本棚に詰め込まれた
幾つもの資料を見渡している三人の姿を見ながら佇むAは、その間にも考える。



『(……どうするのが正しいの?)』



彼らからの恩恵に甘えて、この場での生活を受け入れるか。
しかし、受け入れてどうするというのだろう。

この後、彼らから見せてもらう資料を自分で把握して──だからどうする?


少し前までは自分の目標や夢に向かって、ただただ前進していた筈なのに
両親という存在を失った途端に、右も左もわからなくなってしまった。

──未だに彼女は、どうしようもなく不安だった。



『…………これだな』

『…………!』



いつの間にか俯いてしまっていたAの耳に、
資料を見つけたらしい凪斗の声が飛び込んで来て我に返る。



『おっ、あったか!』

『ああ、間違いない……この資料だ』



パッと表情を輝かせた翔を傍らに、本棚から取り出した資料をAに手渡す凪斗。

手渡されたそれは丁寧に筒状に丸められていて、
凪斗からこの資料を受け取ったAは近くのテーブルの上に紙を広げた。

両腕を広げる程の大きさに、設計図を書かれた紙が二枚。
紙に書かれた設計図は、翔や凪斗、もちろん白羽にもわからないものだ。



『……Aちゃん、それの意味が分かる?』

『………………』



唯一の頼みである彼女の表情を窺う白羽が、そっと問いかける。

しかし、彼女がそれに対して答えを返す前から──もっと言えば
白羽が問いかけようとする前、Aが資料の設計図を目にした途端から

翔も凪斗も、声を放った白羽自身も何らかの変化を感じ取っては居た。



『…………どうして……』

『えっ……?』



資料に目を通し始めてから、ずっと虚を突かれたかのように目を見開いていた彼女は

一枚をテーブルいっぱいに広げ、もう一枚を両手に抱えながら
資料の全貌を見渡して──何かを確信したのか、ゆるゆると首を横に振って言う。

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設定タグ:ファンタジー , Flysohigh!!   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(゚Д゚)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか? (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フェイル | 作成日時:2015年8月30日 0時

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