Limit 40. ページ22
〜･〜･〜
斯くして、翔と凪斗の後をついてやって来たのが
今現在では、A自身も住み場所にしている“あの場所”だった。
当然の事だが、この当時はそこに広々とした倉庫はあったものの
後になって彼らが製作を始めるサルバシオンの姿は無い。
『──中を案内しても良いけど、今は資料の方が気になるよな?』
『そうだね』
現在の自宅にたどり着いて、背後を振り返った翔が問いかけたのに対し
Aは目の前の建築物を見上げながら頷いて答えた。
数十人規模の組織だとは耳にしていたが、やはり想像していた以上に大きな建物だ。
その事に彼女は内心驚きつつも、真っ直ぐに
資料の置かれている部屋へと歩みを進めて行く翔達の後を追う。
『あ、お帰り! 翔、凪斗! ……あれ、今日はお客さんも一緒かい?』
『ああ! 買い出し先で会ったんだ。Aって言うんだけど、機械に
強いみたいで、ちょっとこの倉庫の奥にある資料を見てもらおうと思ってさ!』
歩いて行く途中で鉢合った少年が声をかけて来たのに、
翔が話を簡潔にまとめて相手へ事情を説明した。
彼はどうやらコミュニケーションをとるのは得意なようだ。
そして話し相手の方は誰だろうかとAが首をかしげていると、
傍らに立っていた凪斗が彼の名を伝えてくれた。──それが白羽だった。
『そこの鍵なら丁度僕が持ってるから、開けてあげるよ』
『おっ、サンキュー!』
にっこりと穏やかな笑みを見せた白羽に、ニッと笑った翔が礼を言う。
きっと前者の彼は女の子たちからモテるタイプだろうな(顔立ちも良かったし)と
Aも感じつつ、案内に加わってくれたその人の後に続く。
『でもよくそんな子と巡り会えたね? 偶然?』
『えっ、いや…………』
きょとんとした白羽に問われた翔は途端に頬を引きつらせる。
偶然と言えば偶然だが、理由が無かったわけでは無い。
ついには苦笑いをしてしまった翔に、
仕方なさそうに肩を竦めた凪斗が代わりに答えてやった。
『こいつがまた自転車を壊したんだ。それを、以前よりも
しっかりと直すように名乗り出てくれたのが彼女だった──という事だろう?』
『ははは……まあ、そんな感じだよ』
『ふーん。翔、またやっちゃったんだ』
──やはり、翔が自転車を壊すというのは恒例行事らしい。
何ら驚いた様子も無く笑っている白羽を見て、Aはそう確信する。
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フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 聞いてないですよねえ! (白々しい。) 兄だけが、物語の最初で出て来た五人の存在を誰よりも早く知っていたことになりますね。 (2015年9月22日 1時) (
レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ヒビキさん» コメントありがとうございます! はい、その通りでございます! 話が半ばに差し掛かったところで、ようやくその正体がわかりましたね! (2015年9月22日 1時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉー(プロフ) - お兄さんなんて聞いてないですよΣ(ﾟДﾟ)思った以上に複雑ですね (2015年9月21日 22時) (レス) id: 7b18582839 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 違っていたら申し訳ないんですけど、タイトルの絵に描かれている左側の男の子はもしかして主人公の兄である凛空ですか？ (2015年9月20日 20時) (レス) id: b7ba2d1d16 (このIDを非表示/違反報告)
フェイル(プロフ) - ゆーふぉーさん» 書籍は流石に言い過ぎです!!!! 英語ですかー……あれは暗記教科のようなものな上、継続的な勉強になりますからかなりしんどいですよね;; (2015年9月13日 16時) (レス) id: 94a6daec65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2015年8月30日 0時
