第8話 ページ9
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ゴロンと身体を横にしてスマホのロック画面を解除する
ホーム画面にはいつか友達と一緒に撮ったプリクラ
(みんな元気にしてるかな……)
LINEのトーク画面を開けば友達とのトーク履歴が順に表示される
最後に会話したのは……あ?
「ユーキくんだ…」
何とこの世界に来る前に最後に会話したのはユーキくんだった
トーク画面を開けば他愛ない会話を広げて、次の週末に一緒に出かけないかというお誘いが来ていた
(ああ…そういえば誘われてたんだった、私)
ドタキャン……って訳じゃないけれど約束破っちゃったなぁ…
ユーキくんとのトークのやり取りを見ながら、LINEを交換するきっかけとなった時のことを思いだす
確か私の髪型と色褒めてくれたんだっけ…
『その髪の色めちゃくちゃ綺麗だな』
『ホント!?ありがと!!』
意図してインナーを赤にしてた訳じゃないけれど褒められて嬉しくない人なんていない。素直に嬉しかった
そこからは色々と世間話したりと、ユーキくんから声を掛けられて
『良かったらLINE交換しない?』
びっくりした。人生で初めて男子からそんな事を言われたから
陽キャデビュー頑張った甲斐があった……!!
と内心ガッツポーズをした
そこから2人で会話したりとか増えたりはした
ユーキくんからLINE来る度に舞い上がった
私ちゃんと男子と会話出来てる!って
でも、不思議とトキメキとかそういうのは分からなかった
普通の女子ならきっと嬉しすぎてベッドで足をばたつかせて枕とかクッションをぎゅーっとするんだろうけれど……あ、偏見です…
トークできたりするのは嬉しいは嬉しいけれど……でもそれ以上の魅力?が分からなかった
最初はこんなものなのかな、と思うようにしたけど
(そんであれから今だもんね…)
こっちの世界で過ごして約1ヶ月
久々の見たトークは懐かしさを感じたけれど、やっぱりそこまでだった
どうやっても私はまだ“恋心”というものが理解出来てないらしい
(その内わかるよね、その内)
ぼんやりとそんな事を思いながら朝の支度をした
髪を梳かして洗面台へ向かう
一応シャンクスに化粧品とかはお願いして揃えてもらったけれど…
やっぱり使い慣れてる物の方がいいなぁと思ったりもする
しょうがないんだけれどね!!
そんな感じでいつものように準備をした
メイクもして、髪もそれなりにアレンジして
気に入っている高校の制服を着た
よし、今日もばっちり!
甲板に出て、大きな声で今日も一日の始まりの挨拶
「おはようー!!」
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