第25話 ページ26
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将来面接の時に『持っている資格は?』と聞かれたら『1級フラグ建築士です』って答えようかな、と思うくらいに私のフラグ建築はやばかった
「おい!音彩!?」
「どうした!?」
「音彩!しっかりしろ!」
視界はぼやけて頭はぼーっとする
既の所でシャンクスに抱き抱えられたが、私はその場で崩れるように倒れた
とりあえずそういうこと。熱を出してダウンしたのだ
本当に風邪引くとか…マジで占い師になれちゃったりして…
ぼんやりと冗談を心中で思う中、どんどん体の寒気は強くなり、目を開けるのでさえ辛く、私は目を閉じて意識を手放した
「すごい熱だ…とりあえず今すぐ着替えと冷やすものを用意出来るか」
「は、はい!」
ホンゴウの的確な指示にバーにいた女性は冷やしたタオルと自身が持っていた着替えを即座に渡す
外は雨が止んでいた為、直ぐに船に戻ることが出来た
「不可抗力だ。すまない音彩」
ホンゴウは音彩の服を着替えさせると手際よく処置を済ませてベッドへ寝かせた
「様子はどうだ?」
「恐らく風邪だろうな。さっきの雨で身体が冷えたんだ
それとこっちの世界に来て気が張ってたのかもしれないな。疲労で免疫が弱ってたんだろう」
「そうか」
一先ず安静だ、とホンゴウは言い残すと部屋を出ていった
傍にある椅子に腰をかけ、音彩の寝顔を見つめる
顔は赤く、辛そうに呼吸をしながら眠っている
「はぁ……心配したぞ、音彩」
眠っている彼女に聞こえる訳では無いが
安堵し、ついため息をこぼす
そういえば小さい頃、“ウタ”もそうだったな
まだ本当に小さい頃、発熱をしたウタは辛そうにしていた
子育ての経験がない俺はどうしたらいいかとあたふたしたものだ
(そういえばこんな風に)
音彩の頭を撫でる
こんなふうに“治れ、治れ”と一晩中傍にいた事があったか
「…大丈夫だ。必ず治る」
酒場での事がフラッシュバックする
フラリと自分の元へ寄り、頭を預けてきた音彩
その一瞬だけ、微かに聞こえた。小さな声で
『…シャン…クス……“さむい”………』
そう言った途端、崩れるように倒れた
流石に焦ったが…
「頼ってくれたんだな。音彩」
眠っている彼女が返事をする訳では無いが
だが嬉しかった
いつもは“本当に困ったこと”を彼女はあまり言わないからな
「…ん?」
気づくと呼吸は穏やかになり、顔の表情もさっきよりは柔らかくなった
布団を掛け直し、静かに部屋を後にする
(…しっかり休めよ)
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