24:慰撫と過去 ページ9
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「Aにとっての正しい死って何だと思う?」
「正しい死?」
先に安置所から出てきて報告のためにその場を後にした七海さんの数分後に出てきた虎杖くんに球威そんなことを言われて頭が混乱する。
今回の件で虎杖くんは友達だった子を改造された。初めて人を殺してしまった。
そんな後悔が押し寄せてこんな質問をしてるのかもしれない。
「死ぬならさ、皆平等に正しく死んでほしいんだよ。」
「うん。」
「でも今日、改造人間を殺した。あれは本当に正しい判断だったのか分かんなくなっちまった。」
眉間に皺を寄せてグッと唇を噛み締める虎杖くんがさっきの私と似ていて、七海さんが私を落ち着けるためにしたみたいに虎杖くんに軽く抱き着いた。
本当は直接触れるとフェロモンがより強く流れちゃうから駄目なんだけど今はこうするのが良いと思う。
虎杖くんもそれを分かってるのか何も言わずに私の背中に手を回した。
「Aもさ、殺したことあんの?」
「……まぁ呪術師の家系だからね。殺したこともあるし目の前で殺されるのを見ることも少なくはないよ。」
「そっか。」
虎杖くんは抱き締める力を強めながら「辛いよな、」なんて言葉をかける。
私に対して言ってるのか、自分に言い聞かせてるのか分からないけど胸が締め付けられる想いだ。
感覚が麻痺してるだけで私も最初はこんな風に泣いてたっけ。
泣いて、術師辞めたいって何回も想って、そんな時にいつも慰めてもらってたな、なんて思い出に浸る。
「……お兄ちゃん。」
「え?」
「え、あ!え?ごめん、声出てた?」
コクコクと首を縦に振る虎杖くんを見てやっちゃったなぁ、なんて苦笑いを浮かべる。
思い出に浸りすぎるなって警告かな。
「そういやAって兄ちゃんいるって言ってたもんな。仲良いの?」
「う〜ん……仲良かったのは1番下のお兄ちゃんだけかな。1番上のお兄ちゃんは私が生まれてすぐに任務で死んじゃったし2番目のお兄ちゃんからは嫌われてるから。」
「兄妹なのに?」
「フェロモンあるから今は仲良くなれるかもしれないけど……」
記憶にある"兄"の姿は全部3番目のお兄ちゃん。
今だったら2番目のお兄ちゃんも好きになってくれるかな、なんて淡い期待はあるけどフェロモンの効果が切れて冷たくされるなら好かれないほうがまだましかもしれない。
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ゆう - 続き早くみたい!! (3月19日 14時) (レス) @page39 id: f37b355590 (このIDを非表示/違反報告)
パンピー - 一気に読みました!!すごく面白くて好きです!もう更新はしてもらえないのでしょうか,,,?続き,楽しみにしてます! (2月18日 23時) (レス) id: 2630b906e6 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 面白すぎて、一気読みしました!もう続きはないのでしょうか……? (10月26日 19時) (レス) @page39 id: ba86f2a0b9 (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - めっちゃ面白いです!! これってもう終わりなんですか、、? (2022年7月19日 22時) (レス) @page34 id: d025dfcb18 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - お父さんまだ娘はやらん的な、親バカだといいな。と脳内お花畑が通ります。すっごく面白いです!一日で全部読んじゃいました!。更新待ってます (2022年1月11日 18時) (レス) @page31 id: 7db18ffeeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/Momo_UxxU_
作成日時:2021年3月21日 17時